2025.09.17

アパレルから就労移行へ。障害者雇用に対する企業の不安をなくし、企業連携から社会を変えるために。

LITALICOワークス 就労支援員 インタビュー

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今回のインタビューは、LITALICOワークス https://works.litalico.jp/ (以下、ワークス)の支援員として活躍する馬渕さんです。アパレル業界から未経験でLITALICOに入社した馬渕さんから、入社の経緯や現場での取り組みについて詳しくお話を伺いました。

理念に惹かれ、未経験から入社

プロフィール

馬渕さん|2021年入社
アパレル業界から福祉業界未経験でLITALICOワークスに転職。
現在は配属センターにて実習や就活、就職後の定着支援など、企業連携を含む事業所内外の支援に幅広く従事。


前職はアパレル業界に勤めていたという馬渕さん。入社前にLITALICOの社員インタビューを読み込み、理念に共感して入社したとのことで、詳しくお話を伺いました。

ー なぜアパレルから福祉という異業種へ就職しようと思ったのでしょうか?

高校卒業を前にしたとき、業界として福祉と服飾のどちらに進むかで迷いました。親戚に難病や障害のある人がいたので、もともと福祉への関心は強かったんです。親戚家族が直面する困難を目の当たりにし、社会から孤立していく姿に胸が締め付けられる思いでした。

ー もともと社会課題に関心をお持ちだったのですね。

学生の頃から、社会に対して多数派に属していないときに感じる生きづらさという点に課題を感じていました。多数派と少数派では、同じ社会に対して見えているものが違うなと感じていたんです。社会人として働く中でも、障害のある方たちは社会の中で少数派に捉えられ、社会から断絶されてしまいがちな現実を感じることが多かったです。

結局、新卒では服飾の道へ進みましたが、福祉への関心が途切れることはなかったので、コロナ禍で担当していた店舗が閉店したことをきっかけに、今度こそ福祉の道へ進もうと決めました。

ー LITALICOのことは、以前から知っていましたか?

はい。親戚のために障害者向けのサービスを調べていたときにLITALICOのサイトに行き着きました。全体的にカラフルでとても魅力的だったことを覚えています。転職を決意してからは社員インタビュー記事も隅々まで読みましたね。LITALICOのトップページにある「障害のない社会をつくる」というビジョンや 「障害は人ではなく、社会の側にある」という考え方に感銘を受け、入社を決めました。

ー 未経験からの就業でしたが、実際に入社してみていかがでしたか?

研修が段階的に構成されており、座学を一度に受けるのではなく、半日現場に行って利用者さんと挨拶を交わし、知識と実践を積みながら進めていくという実践的な形式でした。実際に働く先輩の姿を見て、目的意識を持って研修に取り組むことができたので着実に学びを深めることができました。完全に未経験からのスタートでしたが、おかげで安心して取り組めたと思います。

入社研修だけではなく、その後もステップアップ研修があります。1年間就業してみたうえでの経験や理解度を共有し、先輩からアドバイスをいただくことで自分自身の理解力や想像力の変化や成長を感じることができました。

また、やりたいことや身につけたいことをセンター長に相談すると、実際に挑戦する機会を一緒に考えてくれます。自分の興味のある分野を積極的に学んで成長に繋げていけるのは本当にありがたいです。

利用者さん一人ひとりによって異なる支援

普段は、利用者へのプログラムの提供や企業訪問、定着支援に携わっている馬渕さん。詳しく業務の様子を伺いました。

ー 前職の経験が活きていると感じる場面はありますか?

前職では子ども服の販売を行うなかでお客さまと直接接する機会が多く、温かい交流がありました。お客さまが何を求めているのかを考え、会話の中から本当の気持ちを引き出すこと、そして、利用者さんの体調や気持ちを理解しようと努める姿勢は、今の仕事にも共通しています。

ー 逆に前職とのギャップを感じたことがあれば教えてください。

入社面接のときに「アパレルの店舗での会話と比べて、利用者さんとの面談では相手の負の感情に向き合うこともある」というお話もあったので、これまで経験がなかった部分ではあり不安もありました。実際に働いてみてからも、就労移行を利用されるまでの経緯やバックグラウンドをお伺いする中でご本人のお辛い気持ちに触れることもあります。

それでも、メンバーさんのお気持ちに寄り添いながら、支援としてできることを考えるという過程のなかに多くの学びがあるなと感じています。利用者さんがたとえ同じ障害名の診断を受けている方だとしても、画一的な支援を提供することはないので、さまざまな方の人生やその支援の方法を探っていく過程はとてもやりがいのあるものだと感じています。

ー 利用者さんとのコミュニケーションのなかで印象に残っていることはありますか?

入社して間もない頃は、利用者さんから嫌われたり怒られたりしないようにということばかり考えていました。そんな中、目の前の利用者さんとしっかりと向き合えていなかったためか、担当を変えて欲しいと言われてしまったこともあります。

一方で、先輩スタッフにも相談できる環境だったため、自分の伝え方のどこがいけなかったのかを内省し、その方の特性や性格に合ったコミュニケーションの仕方はどんな形が良いのかを考え続けることができました。結果、対話の仕方を改めることができ、最終的にはその方と良好な関係を築くことができました。

企業の「雇用への不安」を取り除くために

企業訪問や定着支援で企業との交流も多い馬渕さん。企業連携業務についてお話を伺いました。

ー 企業連携業務において印象に残っている言葉やエピソードはありますか?

障害のある方の雇用や、個々の特性について理解しようと積極的になってくださる企業がある一方で、法定雇用率を上げることだけに重きを置きすぎてしまっている企業もあります。決められた雇用率を達成できず、行政から指導が入っている企業から私たちに相談を受けた際に、「どうせできないでしょ?」といった心ない言葉をかけられたこともありました。

そういったケースの場合、まずはLITALICOワークスや就労移行そのものに興味を持ってもらうことから始めています。企業が抱いている障害のある方への懸念はなにか、それに対して我々はどのような支援ができるのか。体調に気を使わなければならない、コミュニケーションが困難であるといった企業が抱える懸念を、就労移行支援事業所での取り組みや利用者さんの様子を具体的に説明することで、払拭していくことが重要だと考えています。

また、理解したいという気持ちはあるけれど、何から始めて良いのか分からないという企業もたくさんいらっしゃるので、障害者雇用の知識をお伝えしに行ったり、企業内での講演を通じて業務への理解を深めてもらったりしています。

企業開拓によって、世の中の協力者を増やす。

ー これから取り組んでいきたいことを教えてください。

企業との障害者雇用を通じた連携を、さらに活性化していきたいです。現状では、私自身が企業とやり取りする中で、障害者雇用を始める際の知識や引き出しが不足していると感じています。たとえば障害者雇用に関する求人をどのように出すのがよいのかなど、まだ知識不足な部分もあるので、さらに知識を深めて企業に知見をしっかりと提供できるようになっていきたいと考えています。

障害者雇用を始めていない企業や、これから始めようとしている企業に対しても、より働きやすい環境を整えるためのアドバイスがしっかりとできるようになれば、より多くの利用者さんの雇用にも繋がる土台が出来ていくと思います。先輩方の知識を参考にしながら、さらに良い循環を生み出せるように努めます。

ー LITALICOのビジョンの実現のために取り組まれていることはありますか?

日々の業務の中で、「障害のない社会」をつくっているという実感はまだ少ないかもしれません。しかし企業の方々との関わりを通じて、企業側の障害者雇用に関する知識が深まったり、企業同士が意見交換をしている様子を見たりするなかで、自分たちが「働く」という側面から社会を変え、障害のない社会へと一歩ずつ近づいていると感じています。

LITALICOの社長の考え方、そして組織全体の社風においては、チャレンジ精神に溢れていると思います。私もその影響を強く受けて、障害のある方が企業で働く機会を増やし、多くの人に障害者雇用について考えてもらうきっかけをつくりたいと考えるようになりました。企業を開拓したり、積極的に情報を発信したりすることで、世の中に協力者を増やしていく。仕事を通して、外部の方々に当社の活動や大切にしていることを広めていきたいです。

ー 入社を考えている方に向けて一言お願いします。

私自身、障害のある方々がさらに暮らしやすく、よりよい社会にしたいという思いを大切にして働いています。ビジョンや会社が目指すところへ共感し、自らアクションができれば、福祉業界は未経験という方でも活躍ができる会社だと感じています。研修で知識を深められますし、先輩に同行して実際の現場を見る機会も豊富にあります。日々の支援や経験を通して、人としても成長していける会社ですね。

私のほかにも福祉業界は未経験というかたも多く、高い専門性や資格があり入社された方を含め、さまざまな経験を持つ方が集まっています。「自信はないけれど、それでも社会をより良くしたい」そういう思いを抱える人が理想を形にできる環境が整っています。入社して色々なことに挑戦してみたいという方にはぴったりの会社だと思います!

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