地域と人をつなぐ“支援のハブ”を目指して。地域に開かれた就労支援に向けて、大切にしていること。
LITALICOワークス 就労支援員 インタビュー

”利他”と”利己”をかけ合わせた社名や理念に共感
プロフィール
長谷川さん|2023年入社
大手人材会社、ホームレスの自立支援に取り組むNPO、芸術文化を発信する財団など、3つの異なる分野で社会課題に向き合ってきた。自らもうつ病を経験し就労移行支援を利用したことがあり、障害や困難を抱えながら働くことの難しさと向き合ってきた当事者性が、現在の支援にも活かされている。LITALICO入社後は大宮センターを経て、現在は春日部センターに勤務。
長谷川さんがLITALICOに出会ったのは10年以上前。大学時代のゼミの後輩がLITALICOの社員で、社長とお話する機会もあったとのこと。
ー LITALICOとの出会いのきっかけは?
当時、社名がウイングルからLITALICOにかわった時期で、「LITALICO」という社名が、“利他”と“利己”をかけ合わせた造語だと聞き、理念に共感したことを今でも覚えています。
当時はホームレス支援の現場にいて、「人の可能性を信じ、再チャレンジ」を応援していくことに、強いやりがいを感じていたんです。
その後、うつ病を経験し、就労移行支援を利用したことをきっかけに、自分の扱い方が少しずつわかり、生きやすさを実感できるようになりました。さらに2021年には目の障害を患い、合理的配慮の必要性や働くことの難しさも実感しました。そうした経験から、今度は自分が、他の人が少しでも生きやすく、働きやすくなるような支えになれたらと考えるようになりました。
違和感から始まった、社会課題へのまなざし
ー 社会課題に興味・関心を強く持つようになったのはどういったきっかけだったのでしょうか?
社会課題に関心を持つようになった原点は、大学時代の違和感でした。国際協力やソーシャルビジネスを学ぶ環境にいながら、大学の最寄り駅には大勢のホームレスがいる。遠くの社会問題に目を向けることも大事だが、まずは身近でできることをしたいと考え、夜回りや炊き出しに参加し、当事者の声に触れました。「妻を亡くして意欲を失った」「年齢の壁で働けない」──そうした現実は“自己責任”では済まされないと感じました。
インターンを経て、NPOでの就職を希望しましたが、周囲からの勧めもあり、まずは大手企業へ入社。その後、営業職などを経てやはり現場で支える仕事がしたいとNPOへ転職しました。
ー NPOではどんな仕事をされてきたのでしょうか?
NPOでは、「若者ホームレス白書②」や「路上脱出ガイド」の制作に携わったほか、サッカーを通じた場づくりにも取り組みました。ホームレスによるサッカーチームのサポートをきっかけに、スポーツが人をつなげ、元気にする力を再認識。多様な背景の人がともにプレーできる「ダイバーシティサッカー協会」を設立し、今も関わっています。
実は自分自身はサッカー未経験。高校時代に母を亡くし、ハンドボール部でのチーム活動が心身のリフレッシュになっていました。だからこそ、スポーツは単なる運動ではなく「心をつなぐ場」だと信じています。
「つながり」を力にする。地域連携を重視した支援
社会問題に長く向き合ってきた経験がある長谷川さん。LITALICOワークスでも、地域の中での社会や企業とのつながりを増やす取り組みを重視して活動をおこなっているそう。
ー LITALICOワークスへの入社後のお仕事について教えてください。
LITALICOに入社してからも、仲間づくりや地域連携を重視しています。春日部市の「SDGsパートナーズ」に参画し、地域の企業や農家など実習先を開拓してきました。
昨年には、自身が関わるダイバーシティサッカー協会の大会を埼玉県内で開催。利用者さんやスタッフ、日本語学校の生徒、他事業所の方々が参加し、役割を超えた交流が生まれました。ボランティアとして大会にかかわった利用者さんからは「人の役に立てたことが自信につながった」と声をもらい、手ごたえを感じました。
ー 地域のつながりを大切にした活動を重視されているのですね。
春日部センターでは、モルック交流やごみ拾いなど、日々の小さなアクションを通じて、地域とのつながりを育んでいます。モルックは、年齢や障害の有無を問わず誰もが楽しめるスポーツなので、地域の支援機関との交流のきっかけにもなり、参加した利用者さんの自信につながる場面も多く見られます。
また、定期的なごみ拾いでは、地域の方から「ありがとう」と声をかけられることもあり、社会の一員としての実感を得られる貴重な機会となっています。
利用者さんの強みを見つけて育てる。新しい支援のかたち
ー 入社してから感じたことや新たな発見などはありましたか?
LITALICOで学んだのは、「課題を見つけて解決する」だけが支援ではないということ。大切なのは、利用者さんの強みを見つけて育てること。その視点は、自分にとって新鮮でした。ある利用者さんは、小さなミスで落ち込むことが多く自信を失っていましたが、春日部センターの利用者さんたちからの励ましや植物栽培という得意なことを活かして農業系の仕事に就きました。好きなことを軸に、働く未来を描けたことが印象的でした。
ー チームとしての支援についてはどう感じていますか。
春日部センターでは、障害のあるなしにかかわらず、スタッフ同士がお互いの配慮事項や強み・苦手を共有し合い、働きやすいチームづくりをしています。誰かがすべてを抱えるのではなく、チームでフォローし合える仕組みがあるのは、LITALICOならではの文化だと思います。もちろん、組織としての大きさゆえの縦割り的な課題も感じますが、逆にいえば「一人では到達できないビジョンを、みんなで追える」環境だと思います。
「障害のない社会」のために、社会の側の変化も不可欠
最後に、「障害のない社会をつくる」というLITALICOのビジョンに対して、長谷川さんの活動との繋がりや思いについても伺いました。
ー 改めて、LITALICOのビジョンについての思いを教えてください。
ホームレスの方々の自立支援に携わった経験から、一度仕事を離れた方の「社会復帰」の難しさを感じています。当時は生活保護や仕事に繋がっても、再び困難に直面したり、関係が続かなかったり、連絡が取れなくなってしまうこともありました。それを本人だけの問題ととらえてしまうのは違うと思うんです。
「障害のない社会」をつくるには、利用者さんへのアプローチだけでなく、社会の側の理解や仕組みの変化が不可欠です。だからこそ、センターを地域にひらかれた場所にしていきたいと考えています。
たとえば地域にある大手量販店が「ただの物販拠点ではなく、地域とつながる場所を目指す」と掲げていたことに共感し、実習の相談を持ちかけました。就労支援に限らず、地域には障害のある人、高齢者、子どもなど、さまざまな人が暮らしています。だからこそ、日常の中で互いに出会える場所が必要だと思います。
ー 今後チャレンジしていきたいことについても教えてください。
直近、複数事業所と連携して始めた合同説明会は、まだ参加者数が少ないのが現状ですが、障害のある人と地域資源の出会いを生み出す場になっています。
最近では、モルックなどの活動を一緒に取り組んでいる他の就労移行支援事業所と、合同でケース検討を行う取り組みをはじめていく予定です。それぞれの現場の支援者が視点や知恵を持ち寄ることで、より多角的なサポートが可能に。こうした実践から、今後もより地域全体で支援のネットワークを広げていくことができればと考えています。
ー 最後に入社を考えている方へ一言お願いします。
LITALICOは「障害のない社会をつくる」というビジョンを掲げており、そのビジョンを実現しようという取り組みが会社全体に浸透しています。実際に私は障害があっても自身の強みをいかす形で働けていますし、地元の企業との連携などセンターの外でも様々なチャレンジをすることができています。このビジョンに共感し、これまでの経験やスキルを活かしたい方は活躍の場面を作っていける会社だと思います。