2026.10.14

「自己理解」を深めた過去が、自分らしく働く強みになる。就労支援サービスの利用者から支援員へ進んだ増田さんの歩み

LITALICOワークス 就労支援員インタビュー

msd.jpg
「特性があっても、自分らしく働けるだろうか」 「支援員として誰かを支える側に立つなんて、自分にできるだろうか」 そんな不安や迷いを抱える方に向けて、LITALICOワークスでは障害のある方を対象とした「LITALICOワークス支援スタッフ採用説明会&座談会」を開催しました。

就労支援サービスの利用者から支援スタッフへ〜挫折の中で深めた「自己理解」〜

前半では、LITALICOが掲げる「障害のない社会をつくる」というビジョンや、全国160以上の事業所(2026年3月時点)で展開されるオーダーメイドの支援体制を紹介。あわせて、未経験から学べる研修制度や障害者雇用の事例、一人ひとりに合わせた合理的配慮の体系についても説明がありました。

後半では、「実際の支援現場で、障害のあるスタッフはどのように活躍しているのか?」をリアルに伝えるべく、先輩社員によるトークセッションが実施されました。

今回トークセッションに登壇されたのは、かつて就労支援サービスの利用者として丁寧な「自己理解」に取り組み、現在は就労支援員として現場で活躍している増田さんです。

増田さん
食品企業の営業職やパーソナルトレーナーとして勤務後、「反復性うつ病」の影響で体調を崩し退職。社会復帰を目指して2020年から就労支援サービスへの通所を開始。通所中に自己理解に取り組み、自身の特性や付き合い方を整理する。2022年2月に株式会社LITALICO入社。現在はLITALICOワークスの就労支援員として、プログラムの実施や個別面談、就職支援、新人教育などを幅広く担当している。


自身の課題と向き合った経験をどのように支援へ活かしているのか。等身大の言葉で語られたトークセッションの模様をお届けします。


―― まずは、増田さんが就労支援サービスを利用することになったきっかけを教えてください。

前職では食品企業の営業職やパーソナルトレーナーとして働いていました。しかしコロナ禍の影響で仕事がうまくいかなくなり、自身の特性である「反復性うつ病」の影響もあって大きく体調を崩してしまったんです。

仕事を辞めて療養生活を送る中で、家族からの勧めもあって就労支援サービスの利用を決めました。「もう一度社会に戻り、前を向いて頑張りたい」という一心からのスタートでした。

―― 通所期間中、特に力を入れて取り組んだことは何でしたか?

一番力を入れたのは「自己理解」です。 「過去」と「未来」の両方から自分自身を見つめ直しました。過去の振り返りでは「前職で体調を崩した原因は何だったのか」「どんな環境だと崩しやすいのか」、そして「それを防ぐためにはどうすればいいのか」を丁寧に整理していきました。同時に未来に向けて「自分は本当はどんなことがしたいのか」にも焦点を当てていきました。

当時は右も左もわからない状態でしたが、自分の特性や困り感を一つひとつ整理し、就職活動のための面接の問答集をつくってはブラッシュアップを繰り返しました。この時に深めた自己理解が、今の僕の大きな土台になっています。

―― 就労支援スタッフという仕事に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

就職活動をする中で参加したLITALICOの会社説明会が、この仕事を意識する最初のきっかけでした。ただ当時は「就労支援に携わるスタッフは何でもできる福祉のスーパーマン」に見えていて、「自分にできるわけがない」と自信を持てずにいました。

その後、本格的な就職活動に入りましたが、当時はコロナ禍で就職活動前の職場実習の機会が少なく、思うように就職に向けた準備のための経験を積めずにいました。そんな中、LITALICOでは選考プロセスの一環として雇用前実習が組み込まれており、「実習を通して職業理解を深められるなら」と実習目的で選考への応募を決めました。企業研究を進める中で「障害のない社会をつくる」というビジョンに触れ、自分の考えと深く重なっていることに気づきました。そこから「同じように困っている人の力になりたい」という思いが強くなり、不安を抱えつつも就労支援スタッフへの応募を決めました。

実際に働いてみて〜働くリアルと合理的配慮〜

――  2022年に入社されてから、1年目はどのように過ごされましたか?

福祉未経験でのチャレンジだったので、最初は本当に手探りで、一つひとつの業務に一生懸命向き合う日々でした。LITALICOワークスでは、新入社員一人ひとりの状態に合わせて少しずつ業務範囲を広げていく風土があります。僕の場合も、上長との定期的な面談を通してスモールステップで進めていただきました。

働き方に関しても、最初はアルバイトの時短勤務(週5日・1日6時間)からスタートしました。そこから段階的に時間を延ばし、3〜4か月で1日8時間のフルタイムに延ばし、半年後には正社員登用へと、焦らず自分のペースでステップアップすることができました。

―― 入社時にどのような合理的配慮を相談されていたのでしょうか?

自分自身「自責傾向が強い」という特性があったため、次のような配慮をお願いしていました。

  • 振り返り面談の設定:上長と客観的に自分を振り返る時間を定期的に設ける
  • 疑問解消のための時間確保:メモを取る時間や、不明点をすぐに質問できる時間を確保する
  • 電話応対の段階的なステップアップ:苦手意識が強かったため、入社当初は電話応対以外の業務を担当する


―― 働く中で、働く上での困り感や合理的配慮の内容に変化はありましたか?

最初は電話応対を免除してもらって他の業務に集中していたのですが、職場内で他スタッフが数多く電話対応をされている様子を見て「自分も少しずつ出られるようになりたい」と思うようになりました。

そこで「水曜日の午後だけやってみる」というルールを決めたり、返答のフローチャートをつくってみたりしながら段階的に挑戦していきました。実際にやってみると、行政の担当部署などやり取りが決まっている相手であれば落ち着いて対応できると分かったんです。成功体験を積み重ねた結果、今では苦手意識も薄れ、他スタッフ同様に対応できるようになりました。

深めた「自己理解」が、支援の説得力に変わる

――  支援スタッフとして働く中で、どのような時にやりがいを感じますか?

自分の関わりによって利用者さんが次の行動につなげられたり、ご本人の目標に近づいた姿を見られるのが一番のやりがいです。

特に印象に残っているエピソードがあります。以前、自己理解や企業研究を深めずに就職活動を進めた結果、なかなか結果が出ずに悩んでいた利用者さんがいらっしゃいました。ある時、自分自身の経験で学んだ自己理解を深める大切さについて、僕なりの考えをお話ししたんです。

すると「自分の言葉に説得力を持たせることが大切なんだ」と深く納得してくださり、そこから自己理解への向き合い方がガラリと変わって、見事就職を果たされました。自分の苦労した過去や自己理解のプロセスが誰かの力になり、良い影響を与えられたと実感できた、本当に嬉しい出来事でした。

―― 支援を行う上で、大事にされていることはありますか?

利用者さんと関わる際に、専門用語を使わず、わかりやすい言葉で伝えることです。自分自身、難しい言葉を使われると不安になってしまうタイプなので、プログラムなどでも「どんな流れで行うのか」「僕の場合はどうだったか」という具体的な体験談を交えて話すようにしています。

自分が利用者だった時に「何につまずき、どう対処したか」というプロセスの言語化こそが、今の支援の大きな強みになっています。

今後の展望〜セルフケアを重ね、未来の選択肢を広げる〜

―― お仕事を続けていく中で、ご自身の障害特性とはどのように付き合っていますか?

自分の状態を「客観視すること」を何より大切にしています。セルフケアの実践と就労定着を図るプログラム『K-STEP』に基づく体調管理シートを、今でも毎朝活用しています。シートを使って「目の痙攣」や「頭痛」といった体調悪化のサインが出ていないかをチェックしていくんです。

「あ、今ぐるぐる悩んでいるな」「のめり込みすぎているな」と気づいたら、ストレッチをしたり、周囲に相談したりして小さなセルフケアを実践するようにしています。業務で悩みやミスがあった時も、一人で抱え込まずにチームのスタッフへすぐに相談しています。周囲の力を借りながら予防策を張ることで、不調によって休むことなく働き続けることができています。

【座談会Q&A】参加者の疑問に答える

トークセッションの終盤には、イベント参加者からの質問に増田さんがリアルな目線で回答する座談会が行われました。



Q. 支援員に向いている人はどんな人ですか? 

「思いやりを持てる方や、何にでも興味を持って楽しめる方は向いていると感じます。未経験でもいろんなことにチャレンジし、失敗しても前向きに捉えて楽しめるスタッフは、利用者さんとも前向きにお話ができていますね。僕自身もそういう存在になりたいと思っています」

Q. どのようなスキルが必要だと感じますか? 

「資格よりも実用的なコミュニケーションスキルです。相手のニーズを引き出す質問力や関係構築が大切だと感じます。私は他のスタッフの問いかけや立ち振る舞いを観察して取り入れたり、直接アドバイスを聞いたりしながら、現場の実践を通じて身につけていきました」

Q. LITALICOワークスならではの良さは何ですか? 

「支援のノウハウがしっかり確立されているので、未経験からでもどう利用者さんの支援を進めていくかの方向性をチームで相談しながら検討できる安心感があります。また、組織が大きいからこそ、利用者さんへのより良い支援に向けて自分のやりたいことや新しい挑戦を応援し、任せてくれる風土があるのも魅力です」


LITALICOワークスの支援員説明会&座談会の模様は、いかがでしたでしょうか?

増田さん、等身大の温かいお言葉をありがとうございました!

この記事をシェアする