2026.02.08

重度の障害があっても「あたりまえの幸せ」を諦めない。LITALICOレジデンスが挑む、生活支援の新しい形。

LITALICOレジデンス 副事業部長インタビュー

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今回ご紹介するのは、LITALICOレジデンス 副事業部長の小野寺規子(おのでらのりこ)さんです。 前職では約7年、障害者総合支援施設で障害のある方々の就職先の企業開拓から定着支援まで就職支援に幅広く携わってきた、小野寺さん。新規事業であるLITALICOレジデンスの立ち上げについてお話を伺いました。

「誰かがやる」ではなく「私たちがやる」。社会課題を直視することから始まった事業。

LITALICOレジデンス 副事業部長
小野寺規子(おのでら のりこ)
2012年入社 。LITALICOワークスの就労移行支援の現場からキャリアをスタート。2016年には、相談支援事業の立ち上げを主導。その後、エリアトレーナーとして東京・神奈川の現場育成を統括。2022年にワークス事業部長に就任し、事業責任者として事業部を統括 。2025年からは新規事業であるLITALICOレジデンスの立ち上げ、運営に参画 。


― LITALICOレジデンスが設立された背景には、どのような社会課題があったのでしょうか? 

2018年ごろから本格的に動き出したのですが、根底にあるのは「重度の障害があっても地域で暮らしていけるようにしたい」という強い思いです。当時も今も、制度はあっても供給が圧倒的に足りていません。多くの方が施設や在宅での生活を余儀なくされ、ご本人やご家族の高齢化やライフスタイルの変化に伴う選択肢がないという切実な状況がありました。「住み慣れた土地で、家族にすぐ会える場所で暮らしたい」という願いは、人としてごく自然なことです。しかし、事業としての参入ハードルの高さもあり、選択肢が極端に少ない。この顕在化した社会課題を、LITALICOとしては「しっかりと向き合う必要がある」と考えました。

就労支援(LITALICOワークス)を通じて、生活や家族の課題は常に隣り合わせであると感じていましたし、重度ゆえに既存のサービスが届かない方々の困難も痛感していました。幼児期の療育(LITALICOジュニア)から就労、そしてLITALICOライフによる「親亡き後」のサポートまで、私たちのすべてのサービスは一本の線でつながっています。だからこそ、生活の基盤となるグループホーム事業への挑戦は、私たちが掲げる「障害のない社会」を実現するために、避けては通れない運命だったのだと感じています。

単なる生活のための場ではなく、「第二のホーム」でありたい。

― LITALICOレジデンスならではのこだわりについて教えてください。 

私たちが提供したいのは、単なる寝泊まりする場所ではなく、第二のホームのような、豊かな「暮らし」そのものです。そのため、都内の駅近という利便性の高い立地にこだわり、車椅子の方でも快適に過ごせる新築戸建てをゼロから整備し、支援の内容についても利用者さまが家での生活に近い形で暮らせるよう工夫しています。

例えば入浴。「毎日お風呂に入ってさっぱりしたい」という願いを尊重し、毎日入浴できる体制を構築しました。 また、言語によるコミュニケーションが困難な方であっても、ご本人の意思決定を重視しています。

女性専用棟ではマニキュアやメイクなどの美容を楽しんだり、時にはみんなでデリバリーを頼んで好きなものを食べたり。ちょっと心おどる瞬間を日常の中にどれだけ作れるか。自宅ではないけれど、自宅に最も近い「もう一つの家」として、当たり前の暮らしを当たり前に提供することに全力を注いでいます。

「今日が正解」とは限らない。一人ひとりに向き合い、チームで最適解を探し続ける日々

― 現場ではどのようなスタンスで支援にあたっているのでしょうか。 

大切にしているのは、今、目の前の利用者さまにとっての「個別最適」の視点です。私たちの支援に、これをやっていれば正解、というマニュアルはありません。今日の正解が、明日の正解ではないかもしれない、という柔軟性を持ち、一人ひとりと丁寧に向き合っています。 

時にはスタッフ間で意見が分かれることもありますし、新規事業がゆえに体制が安定しづらく、正直大変な時期もありました。一方で、そのような成長過程の事業ではありながらも、「利用者さまにとって最適なものは何か」という問いが常に議論の根幹にあり、チームとして根付いているのが素晴らしいなと感じています。
利用者さまの笑顔が見られた時や、今までできなかったことができるようになった瞬間が共有されると、チーム全体がパッと湧き上がるんです。利用者さまの幸せが、私たちの原動力になっているなと感じます。

入居を決めたことへの罪悪感を、感じなくていいように。

― ご家族との関わりの中で印象に残っていることはありますか? 

家族会での出来事が忘れられません。ご家族が口々に子どもがグループホームに入居したことへの罪悪感を口にされたんです。本来、子供が親元を離れて自立していくのは喜ばしいステップのはず。なのに、なぜご家族が自分を責めなければならないのかと、胸が締め付けられる思いでした。 長年育ててきた我が子だからこそ、家族全員の将来を見据えた大切な選択をされたはずが、グループホーム入居へのイメージがまだまだネガティブな傾向にあるのだと感じました。

この事業は片手間でやってはいけない、誰かが本気で向き合わなければならないと感じた瞬間でした。私たちは単なる「受け皿」としてではなく、ご本人が新しい仲間を作り、自立していくためのパートナーでありたい。ご家族が親としてもお子さまといい距離感で向き合えるよう、生活だけでなくご家族全体を支えていきたいと感じています。

LITALICOと出会えたことが「奇跡」とおっしゃっていただけることがありますが、それは嬉しい反面、私たちのようなホームを利用することが「当たり前」という状態にならなければ、という使命感にも繋がっています。

「介助」の先にある支援へ。24時間365日、質の高いサービスを届ける難しさと誇り

― 運営における大変さはありますか? 

24時間365日、切れ目なく質の高い支援を届け続けることは、想像以上に大変なことですが、必要な介助だけに終始しないように心がけています。私たちが大切にしているのは、高い倫理観と「個の視点」を持って、なにが最適かを考え続ける姿勢を常に忘れないことです。

利用者さまとコミュニケーションを取り続け、常にもう一段、二段上の質を目指して考え抜く。これは誰か一人のベテランがいれば済む話ではなく、チーム全員で取り組む必要があると思うんです。 例えば、全介助が必要な利用者さまが、自分の手で食事を口に運ぼうとした瞬間。その小さな変化を見逃さず、どうすればもっと本人の「やりたい」を叶えられるかをチームで考える。そんな思いを忘れないチームであり続けたいと考えています。

― 最後に、今後の展望や目指したい姿を教えてください。 

私自身、LITALICOを含めて福祉業界での仕事を約20年ほど続けてきましたが、これだけ長くやっていても、まだ解決できていない課題が山ほどあると感じます。目に見えているものは、氷山の一角に過ぎませんし、ご家族や関係機関、そして当事者の方々が直視している生きづらさを、私たちも共に直視し続ける必要があると思います。

LITALICOワークスを立ち上げて以降、就労移行支援が世の中に浸透し、障害のある方が働くことが当たり前になったように、レジデンス事業を通じても「福祉の当たり前」を変えていきたい。事業としての収益性を確保しながら、目の前の一人(個)に徹底的に寄り添う。この両立は難しい挑戦ですが、量と質、どちらも妥協せずに事業を続けていきたいです。 私たちの仕事を通じて、障害があってもなくても、誰もが自分の人生の主人公となり、自由に人生の選択肢を選べる社会を作っていきたいと考えています。

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