イベントレポート:大手人材会社からLITALICOへ。事業責任者が語る、キャリア選択の軸と事業開発のリアル

登壇者紹介
株式会社LITALICO LITALICOキャリア事業責任者 矢島
2015年に新卒で株式会社リクルートに入社し、「リクナビ」の商品企画等を担当。4年目に株式会社LITALICOへ転職し、福祉業界の人材不足という社会課題に挑む「LITALICOキャリア」をゼロから立ち上げる。現在は同事業の事業責任者を務める傍ら、重度障害のある方のためのグループホーム事業の立ち上げにも従事。プライベートでは1児の母でもある。
企業選びの軸とキャリアの築き方
―― 大手人材会社からLITALICOへ。ダイナミックな仕事の裏で感じた葛藤
トークは、矢島のLITALICO入社までの経歴から始まりました。大学時代、ダウン症の弟の存在をきっかけに障害福祉の領域に関心を持っていた矢島は、「社会にインパクトを与えたい」「若いうちから成長したい」という軸で就職活動を行い、株式会社リクルートへの入社を決めたと語ります。
「面接で会った社長が、スーツではなくジーパン姿だったんです。『これから東日本大震災の復興支援に行くから』と、社会に対して自分はどうしたいのかを熱く語ってくれて。社員全体にそうした熱量がある会社でなら、自分も生き生きと働けそうだと思いました」
入社後は、数億円規模の予算を動かす集客戦略や、人気お笑い芸人を起用したイベント企画など、ダイナミックでやりがいのある仕事を担当。しかし、社会人3年目を迎える頃、自身の心の中に変化が生まれたと言います。
「目標達成のために120%の力で走ることはできても、周りのトッププレイヤーのように200%のエネルギーを注ぎきれない自分がいました。当時の目標は『競合に集客数で勝つ』こと。でも、その目標が達成された先に、自分にとっての本質的な喜びはあるのだろうか、と。『何のために頑張るのか?』がわからなくなってしまったんです」
その葛藤をきっかけに、社内の新規事業コンテストに挑戦したものの、そこで、「事業を立ち上げるスキルの圧倒的な不足」を痛感したと振り返ります。
「巨大な事業の一部分を担当することはできても、事業全体のコスト構造や利益の出し方、戦略の立て方といった、ゼロから事業を作るための知識やスキルが全く足りていないことに気づかされました」
―― 転職の決め手となった同年代との出会い
「自分の手で事業を創り出せるスキルを身につけたい」という想いを胸にキャリアを模索し始めた矢島は、LITALICOで働く同年代の社員に出会い、衝撃を受けました。
「『新しく事業をやるならどう立ち上げるか』という話になった時、そのLITALICOに勤める同年代の彼は、マーケットの課題分析から事業計画、人員計画までを明確に描ききっていました。自分との圧倒的な差を感じ、この環境に身を置かなければ、社会性の高い領域で事業開発を行うという目標から遠ざかってしまう、と焦りを感じました。それがLITALICOへの入社の決め手です」
――なぜLITALICOでは若手が事業開発を経験できるのか
同じ社会人4年目で、なぜこれほどのスキル差が生まれていたのか。矢島は、その理由を両社の「事業戦略」と「組織フェーズ」の違いにあると分析します。
「LITALICOは会社として成長するために、常に新しい事業を生み出し続ける必要があります。そのため、若手にも事業開発の機会が多く与えられるのです。若手でも事業の全体を見渡し、戦略を立て、自分たちで意思決定をしながらスピーディーに仮説検証を繰り返していく経験が積める。これが、スキルの違いを生んだ大きな要因だったと考えています」
LITALICOが向き合うのは、数百億円規模の巨大マーケットではなく、障害福祉領域の無数の社会課題です。常に新しい事業で課題解決に挑み続けることが求められるため、必然的に若手にも事業開発を担う機会が多く生まれると説明しました。
社会課題を起点に考えるLITALICOの事業創造
――社会の課題からはじめる事業
LITALICOの事業創造には、もう一つ特徴があります。それは、マーケット規模や収益性からではなく、社会課題を起点に事業を構想する点です。
「まず『社会にこんな困りごとがある』という課題があり、それを解決するために『こういう事業が必要だ』と考える。そして、その事業を継続させるために、どうすれば売上や利益を生み出せるかを設計していく。この順番で事業を組み立てていくカルチャーが、LITALICOには根付いています」
この思想こそが、リクルート時代に感じた「何のために頑張るのか?」という問いへの、自身にとっての答えになったと語りました。
―― 事業と個人の成長:ゼロから事業を立ち上げた経験
2018年の入社後、矢島は「LITALICOキャリア」のゼロからの立ち上げを任されます。
「LITALICOキャリア」とは?
障害福祉業界で従事する方のための転職支援サービス。求人媒体・人材紹介2つのサービスで求職者の転職活動をサポートしています。
テレアポから始まり、事業のフェーズに応じて、CSチームの立ち上げやプロダクトマネジメントまで、「LITALICOキャリア」の成長に必要な役割を全て担ってきました。
「事業の成長と共に、自分に求められるスキルや乗り越えるべき壁が目まぐるしく変わっていきました。事業開発に必要なスキルを、職種を横断しながら汎用的に獲得できた7年間だったと感じています。事業の成長と自分自身の成長が常にリンクしている実感がありました」
ライフイベントとキャリアの両立
現在、1児の母として育児と仕事を両立する矢島は、自身の経験からキャリアとライフイベントを考える上での重要な視点についても触れました。
「どんなに制度が整っていても、仕事に熱がなければ両立は苦しいだけです。問うべきは一つ。『子どもとの時間を割いてまで、自分が打ち込みたいと思える仕事か?』。この問いに“YES”と即答できるかどうかが、人生の幸福度を大きく左右すると思います」
LITALICOでは、成果へのコミットメントは求められるものの、働き方の自由度は非常に高い。実際に矢島も、夕方に仕事を抜けて子どものお迎えに行き、育児後に再び仕事に戻るなど、柔軟な働き方を実践していると話しました。
最後に:参加した学生へのメッセージ
イベントの最後に、矢島はこれから社会に出る学生に向けてメッセージを贈りました。
「自分のエネルギーが最も高まる会社を選んでほしいと思っています。そのエネルギーの源泉が何かを、ぜひ深掘りしてみてください。もしそのキーワードが『社会課題の解決』や『自分の手で事業を創ること』であるならば、LITALICOは皆さんにとって最高の環境であることを保証します」
社会に価値を届けたいという情熱と、事業家として成長したいという意欲。LITALICOには、その両方を満たすキャリアがあると締めくくりました。