2025.12.11

「共倒れの心配がなくなり、罪悪感が安心感になった」。LITALICOレジデンスの出会いから生まれた、ご家族とご本人の第二の人生とは?

LITALICOレジデンス 顧客インタビュー

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インタビューにお答えいただいたのは、LITALICOレジデンス(重度障害者向けグループホーム、以下レジデンス)をご利用中のSさん(20代・女性)のお母さまとお父さま。 ご家庭での生活に変化が生まれたきっかけや、グループホーム入居に至るまでの率直な胸の内を伺いながら、Sさんが入居後どのようにご家庭に影響があったのかもお話いただきました。

てんかん発作や問題行動の増加から、グループホームを検討するように

Sさんの幼少期はどのようなご様子でしたか?

ー母:てんかんの発作が、Sが年中のときに初めて起きました。最初は一点を見つめるような軽めの発作で、それまでは知的障害の傾向などもなかったです。小学校2年生までは普通級に在籍していましたが、発作が起きるたびに、次第に発達の遅れを感じるようになり、国語や算数の一部だけ特別支援の通級指導を利用するようになりました。中学校からは特別支援学校に進学しています。
文章を書くこと、習い事で振付を覚えることなど、様々な面で元々できていたことが数年かけて徐々にできなくなっていく感じでした。

ー父:親としては時間軸も長かったので、「あるがままに受け入れるしかない」と徐々に気持ちが適応していったような感じですね。

ー母:特に、発作についてはほぼ毎日起きる状態で、前触れなく急に倒れてしまい、頭を打ってけがをしたりすることも増え、常時の見守りが必要になっていきました。

グループホームへの入居を検討し始めたのは、どのようなきっかけからでしたか?

ー父:入居時期の半年くらい前だったでしょうか。それまでは自分たちが年を取ってからであれば、施設に預けることを検討するかも、くらいで考えていたんですけど。

ー母:入居前から日中に支援を受けられる生活介護は利用していたのですが、行き渋る日が増えてきたんです。

また、以前から家の中でのいたずらはありましたが、「仕方ないな」くらいのレベルで。シャンプーの詰め替えを全部出したり、金魚にカブトムシのゼリーをあげてしまったり…。しかし、徐々に家中の食器棚やゴミ箱、鍵付きの扉なども開けて全部のものを出してしまう行動が始まって。片付けに2~3時間かかる日もありました。留守番をさせることが難しくなり、私が仕事に行ったり、買い物に出かけたりすることもできず、「家に誰か人がいてくれたら…」と強く思いましたね。

ー父:急遽、夫婦で話し合い、「このまま家でずっと対応し続けるのは、さすがに難しいね」という話になりました。


「重度向け」「日中サービス支援型」「家から近い」全てを満たした運命の出会い

LITALICOレジデンスの存在はどのように知りましたか?

ー母:「東京 グループホーム」で探していて、HPをたまたま見つけました。それまでLITALICOという会社は知らなかったのですが、調べてみると幅広くいろいろなことをされている会社だと分かりました。Sがもし小さかったら、お子さま向けの発達支援「LITALICOジュニア」を利用したかったな、とも感じました。

LITALICOレジデンスに強く惹かれた決め手は何でしたか?

ー父:自分たちの家から近かったことは、かなりありがたい条件でした。自転車で行ける距離なら、年を重ねても足が遠のいてしまうことがないだろうなと思ったんです。

ー母:「日中サービス支援型」であることも私たちにとっては重要でした。Sは通っている作業所(生活介護)がとても合っていたので、そこを辞めずにグループホームも利用したいと考えていたのですが、以前からどんなに好きな場所でも当日朝になって「やっぱり行かない」となってしまう日も多くて。

だからこそ、日中の外出が突然キャンセルになって在宅になっても、昼間もサービス提供をしてくれる場所がSと私たち家族には必要でした。「重度障害のある方向け」で「日中サービス支援型」のレジデンスはまさに私たちにぴったりだと思い、残り数室のみ空きがあるのを知って急遽応募しました。

初めて子と離れる不安とさみしさ。スタッフの言葉で乗り越えられた葛藤

― 実際にグループホームへ入居となった際は、不安や葛藤はありましたか?

ー母:正直、最初は不安しかありませんでした。てんかん発作があったときにスタッフの方々が対応しきれるのか、入居できてもやはり対応できないとなって途中で帰されてしまったりしないか…という気持ちも。また、S自身が突然用事がある日になって「出たくない!」となることが多かったので、ホームでも支援員さんを困らせてしまったらどうしよう、という心配もありましたね。
それと同時に、自分たちの手に負えなくなってきていて困っているのは事実なのに、いざいなくなると思うと「寂しいな」、という気持ちも強かったです。スーパーで、Sの好きな食べ物を見ると「もう家で食べさせてあげられないのか…」と思って泣きそうになったりもしましたね。

その不安や葛藤は、どのように解消されていきましたか?

ー母:入居初日、Sがすぐにホームに馴染んでいる様子がわかって、本人がとても嬉しそうにしていたのは大きかったですね。支援員さんや看護師さんたちは、些細なことでも相談やお願いをしやすいですし、手厚くサポートしてくれているので不満は全然ありません。

入所初期に問題行動があった際にも、サービス管理責任者の方が「長い目で見て、一緒に対策を考えていきましょう」とあたたかい言葉をかけてくださったのでとても心強く感じました。

他にも、入居後に娘と夫と3人で初めて外出する機会があった時のことです。せっかく入居してリズムが出来てきたのに、家にやっぱり帰る!となるきっかけを与えてしまったらどうしよう、と私が行くのを迷ってしまって。支援員さんに不安な気持ちをこぼしたら、「なにがあっても大丈夫ですよ、私たちがいますよ」と、言ってくれたんです。

結局、お出かけ先に着いた瞬間にSから「私は家(自宅)には帰らないわよ」なんて言われてしまったので、まったくの杞憂だったのですが(笑)。娘にとってホームが本当に好きな場所になっていて、支援員さんたちが本人だけでなく私たちをいつも優しく支えてくれているのが、本当にありがたいです。

共倒れの心配が消え、罪悪感が安心感に変わった

Sさんの入居で、ご両親の生活はどのように変わりましたか?

ー母:「仕事に毎日行ける」「自分の用事に安心して行ける」という自由な生活に変わったのは本当にありがたいです。以前は、慌てて10分くらいで家に帰ってきたりもして、常に目が離せないので外出中も気持ちが落ち着きませんでした。精神的にも負担が大きかったので、私たちの気持ちの面でもかなり変化があったと思います。

ー父:共倒れする心配がなくなったのが一番大きいです。高齢者介護の業界では、老々介護で精神的にも体力的にも限界を迎えたご家庭で悲しい事件が起きるーというニュースも耳にします。Sも、私たちも、両方ともダメになるのは絶対に避けたいと思っていました。
今では、Sが元気に楽しそうにグループホームで暮らしているからこそ、罪悪感は全くなくなりました。本人がつらそうだったら親もつらいですが、今では「ああ、本当に預けてよかったな」と思えています。誰かに頼ることは悪じゃない、罪悪感を持たなくていいんだ、と思えるようになりました。

家だとやらないことも、ホームでは積極的に。日々の活動で見える新たな一面と成長

日々の活動を通して、Sさんの新たな一面や、成長が垣間見えるようになりました。ホームで夏祭りのイベントがあった際は、当日の衣装のゆかたを次の日以降も何度も着てくれる様子があったり。このインタビューの前にご両親も参加された「LITALICOレジデンス音楽祭」の日には、Sさんがピアノ演奏に飛び入り参加してくれたとのこと。

日々の活動で、特に楽しんでいる様子が見られるものはありますか?

ー父:家だと一人でじーっとこもっていることが多かったのですが、ここではいろんな人と交流できるのが楽しそうですね。今日の音楽イベントでは、改めてSがピアノが好きだということが改めて分かりました。
イベントやアクティビティについては、大規模なもの以外にも毎日少しでもいいのでご用意いただければ、Sにとってはきっと刺激になると思います。

ー母:特別なイベントの日以外でも、日中活動の中でビーズで制作したアクセサリーを自分からSの祖母にプレゼントしてくれたようで、とても喜んで家の壁に飾っています。

家だと散らかしっぱなしだったSが、今では気が向くと、ホームのお掃除までやってくれているというエピソードも聞きました。環境が変わると、日々の中で「できること、楽しめることがいっぱいある」という発見があるのも嬉しく感じています。

ー父:あとは、サービス管理責任者の方が、保護者も参加した音楽祭イベントの終わりに利用者一人ずつに向けたコメントを仰ってくれていたのには、本当に驚きました。本当に普段から利用者さん一人ひとりをよく見て下さっているんだなあと。僕も会社で見習わないと、と感じたくらいです。

ご本人とご家族、両方がハッピーになれる環境のために。

最後に入居を迷っているご家族へ向けてメッセージをいただきました。

入居に葛藤があるご家族へ、背中を押すとしたらどのような言葉をかけますか?

ー父:食わず嫌いが一番損をしてしまうと思うんですよ。お子さまにとっても、両親にとっても、どこが一番いいのかを考えて、両親も子どもも若いうちに両方ハッピーになる場所を選びたいですよね。年を取ると選択肢はどんどん限られてしまうと思うので。

とりあえず一回預け先を検討してみて、もし合わなくても一旦家に戻って、他の選択肢を見てみるといった形でもよいのではないでしょうか。

—母:周りを見ていても、お子さんのお世話で頑張りすぎているお母さま方が多くいます。でも、頼れるところは頼っていいんじゃないかな、と声を大にして言いたいです。世の中には子供をグループホームに預けることがよく思われない風潮などもあったりすると思うので、決してそんなことはないですよ、と伝えたいです。

先ほど伝えたように、「家には帰らない」とSに言われたとき、よっぽど今いるグループホームが好きなんだな、と思って。寂しさはあれど嬉しくなりましたね。当初は定期的に自宅に帰れるようにしてあげるべきかなと思っていたのですが、自分で勝手に思っていただけなんだ、と気づきました。お盆や年末年始も含めてホームで過ごしてもらい、私たちがなるべく会いに来るようにしています。

LITALICOレジデンスの未来に期待することはありますか?

ー父:所得や支払い能力に関係なく様々な支援サービスを利用でき、安心感がもてるような仕組みが世の中に広がっていく必要もあるのではないでしょうか。LITALICOは「社会のため」という気持ちで本気で事業をやってくれているのだと感じます。サービスを届ける方の幅が広がれば、さらにステップアップしていくのではないかと期待しています。多拠点展開をする中で、採用や人材育成の部分はとても大変だと思いますが…ぜひ、今後も頑張っていただきたいです。


ー Sさんのお父さま、お母さま、インタビューへのご協力誠にありがとうございました。「世の中によりよいグループホームをつくっていきたい」という私たちの思いや理念に共感してくれる方をスタッフとしてこれからもお迎えしつつ、LITALICOが目指す「障害のない社会」を目指してさらに事業として成長を続けていきたいと感じました。(制作:人材開発部)


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