2025.12.15

イベントレポート:社会の「当たり前」を覆す。現場と経営を行き来し、自らの手で事業を動かす若手リーダーのキャリア観とは

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本記事では、2027卒の学生向けに開催したLITALICOトークイベントの内容をレポートとしてお届けします。(開催日:2025年10月30日) 「福祉業界での企業向けサービスは、ビジネスとして成り立つのだろうか」 「ファーストキャリアでこの業界を選ぶと、その後の選択肢が狭くなるのではないか」 就職活動中、特定の業界に対してそんな不安を感じたことはないでしょうか。 今回の登壇者である金 裕珍(きむ ゆうじん)も、かつては広告業界を志望し、福祉業界への就職は「全く考えていなかった」と語ります。 しかし彼女は今、LITALICOで新規事業のマネージャーを務め、国や社会の仕組みを変える最前線に立っています。 なぜ彼女は、内定を持っていた人気業界ではなく、あえてLITALICOを選んだのでしょうか。 本記事では、彼女のストーリーを通じて、不確実な時代を生き抜くための「会社選びの軸」と「若手が成果を出すための視点」を紐解きます。

登壇者紹介

株式会社LITALICO 発達ナビ部 マネージャー 金 裕珍(きむ ゆうじん)

早稲田大学商学部卒業。学生時代は海外インターンシップ運営の学生団体や複数社でのインターンを経験。2019年新卒入社。 「LITALICO発達ナビ(https://h-navi.jp/、以下「発達ナビ」)」のセールス、カスタマーサクセスを経て、3年目で金融系新規事業の立ち上げを一人で担当。現在はセールス組織のマネージャーとして10〜15名の組織を牽引しつつ、新たな新規事業開発も兼務している。

福祉業界のインフラを作る「LITALICO発達ナビ」

まずは、金が現在マネージャーを務める「発達ナビ」事業について、彼女が対峙しているマーケットと事業の社会的意義について触れておきましょう。

「発達ナビ」は、児童発達支援や放課後等デイサービスといった、障害のある子どもたちが通う施設の経営を支援するSaaS(Software as a Service)事業です。





「飲食店であれば『お店選びのグルメ情報サイト』、一般企業であれば人材育成のための『eラーニング』や、効率的な『会計ソフト』があるのは当たり前です。しかし、福祉業界にはまだそういったスタンダードが整っていませんでした」

福祉施設が抱える「集客」「人材育成」「サービスの質改善」といった経営課題。これらをテクノロジーの力で解決し、業界のインフラを整えるのが「発達ナビ」のミッションです。



――「発達ナビ」事業の圧倒的な成長スピード


「サービス開始から8年目で、業界の導入率は25%、約9,000施設にご利用いただいています。私たちはビジネスとして圧倒的な成長を遂げながら、市場の導入率100%を目指しています」



しかし、彼女たちが目指すゴールは、単なるシェアの拡大や売上の向上ではありません。

「私たちは、事業所様の利益のためだけに仕事をしているのではありません。目指しているのは、日本全国どこに住んでいても、子どもたちとそのご家族が安心して質の高い支援を受けられる社会です。そのために、良い支援を届ける仲間(事業所)を増やし、支えていく。それが私たちの存在意義なんです」



「入社するつもりはなかった」広告志望の学生が抱いていた葛藤

事業の意義と成長性を熱く語る金ですが、学生時代の彼女は「教育や福祉といった分野にはあまり興味がなかった」と振り返ります。



「実は、就活の第一志望は広告業界でした。福祉業界に対しては『特定の専門性が求められそう』『ビジネス職としてのキャリアプランが少なそう』といったイメージを持っていて、正直に言うと、LITALICOに入社する選択肢はほとんど考えていませんでした」
彼女が持っていた内定先には、誰もが知る大手広告代理店や、有名結婚情報誌を扱う事業会社が並んでいました。

しかし、彼女は最終的にそのすべての内定を辞退し、LITALICOへの入社を決断します。その背景には、漠然とした業界イメージではなく、自身の人生を長期的な視点で捉え直した「ある問い」がありました。

人生の選択肢を持ち続ける「自由」を手にするための3つの条件

金が会社選びで最も重視したのは、「人生の選択肢を常に持ち続けられる自分であること」。
「将来、結婚や出産といったライフイベントを迎えたとき、経済的な理由でパートナーに依存したり、今の環境にしがみついたりする状態にはなりたくないと考えました。自分の足で立ち、いつでも『選べる』状態でいること。それが私にとっての自由でした」

彼女は、人生の主導権を握り続けるために必要な要素を徹底的に分析し、会社選びの条件(Must)として以下の3つを定義しました。

1. 業界に左右されないビジネススキル

特定の業界でしか通用しない知識ではなく、どの環境でも成果を出せるポータブルなスキルが身につくこと。

2. ユーザーとも経営者とも近い距離で働けるポジション

「現場(ユーザー)」に寄りすぎるとビジネス視点が抜け落ち、「経営」に寄りすぎると顧客解像度が上がらない。若いうちからこの両方の視点を行き来できるポジションであること。

3. 幅広い業務経験(職務/役割ともに)

完成された大企業ではなく、自分の手で事業を動かせる余地(空白)があること。

「この3つの条件を照らし合わせたとき、最も合致したのがLITALICOでした。大手企業よりも圧倒的に打席に立つ回数が多く、若手であっても新規事業の立ち上げや組織のマネジメントに挑戦できる。ここなら、最短距離で『選べる自分』になれると確信したのです」

逆に優先度の低かった「初任給」や「マーケットサイズ」「学部との親和性」といった表面的な条件(wants)を一旦脇に置き、「将来の自分を支えるスキルが得られるか」という本質的な軸で決断を下しました。

「当たり前は変えられる」若手マネージャーが見た景色

入社後、金は1年目からセールスやカスタマーサクセスを経験し、3年目には新規事業の立ち上げを一人で任されるなど、「修羅場」をいくつも経験します。 その中で彼女が得た最大の学びは、「社会の当たり前は変えられる」という実感でした。

「新人だからできない、文系はこういう仕事しかできない、といった自分の中の『当たり前』。そして、障害があるから活躍できない、法律で決まっているから仕方がない、といった社会の『当たり前』。LITALICOでの仕事は、これらを一つひとつ覆していくプロセスでした」



LITALICOは、現場の支援だけでなく、国(厚生労働省や財務省など)へのロビイング(政策提言)も行っています。現場で得た課題感を元に、法律や制度そのものをより良く変えていく。一企業の社員が、社会のルールメイキングに関与できるという事実は、彼女の視座を大きく引き上げました。

「『世の中の枠組みは、意思を持って行動すれば変えていける』。そう思えたことは、私の人生における大きな財産です。この自信があるからこそ、どんな環境でもやっていけるという確信を持てています」

一日のスケジュールについて

では、金は実際にどのように働いているのでしょうか。



商談や打ち合わせを重ねるという一般的なワークスタイルに見えますが、その業務の中身は「社会の課題解決」に直結しています。
マネージャーとしてチームを束ねるだけではなく、事業開発のために現場感覚を失わないようにするため、彼女の1日には、プレイヤーとしての動きとチームマネジメント業務が両立しています。

「毎日『現場の声』と『事業の数字』の両方に触れ続けているんです。この反復が、日々の意思決定を迷わずできる土台になっています」

参加した学生へのメッセージ

金は自身の経験を踏まえ、これからのキャリアを考える学生たちにメッセージを送りました。



「今日お話ししたのは、あくまで『私のキャリアの選び方』です。皆さんには皆さんの大切にしたい軸があるはずです。 ただ一つお伝えしたいのは、ファーストキャリアの選択において『自分は何も持っていないから』と可能性を狭めないでほしいということです。 LITALICOには、失敗を恐れずに挑戦できる環境と、それを支える仲間がいます。もし、自分の人生を自分でコントロールできる力をつけたい、社会の課題をビジネスで解決したいと思うなら、ぜひ一度お話ししましょう!」

(レポート執筆:LITALICO 採用広報担当)

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