イベントレポート:新卒4年目でマネージャーへ。「社会を変える」を仕事にする、若手リーダーのキャリア論と3つの成長視点
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登壇者紹介
LITALICO教育ソフト マーケティンググループ マネージャー 安田
2021年、早稲田大学人間科学部卒業後、新卒で株式会社LITALICOに入社。大学在学中からインターンとして新規事業(現・LITALICO教育ソフトhttps://s-edu-soft.litalico.jp、以下「教育ソフト」)のプロダクト開発に従事。入社後は同事業のセールス・マーケティング担当に異動し、現在はマーケティンググループのマネージャーとして、全国の自治体や学校へインクルーシブ教育を推進するためのソリューション提供を牽引している。
「自分は空っぽだ」― アイデンティティクライシスから見つけた“教育”という軸
「幼少期に転勤族で15回引っ越し、ふるさとがないんです」そう語る安田のキャリアの原点は、アメリカの高校在籍時にありました。
「『自分はこれが好きで、こうしたい』と堂々と自己表現する同級生の姿が衝撃的でした。では、自分はどうなのか?…何も思い浮かばず、自分は『空っぽな人間だ』と、アイデンティティ・クライシスに陥ったんです」
高校時代に「自己表現や『自分』を作っていくプロセスにおける、教育の影響の大きさ」を痛感した安田は、帰国後、大学で教育心理学を専攻し、高校生の進路支援プログラムに没頭します。
――「経済資本に左右されない構造を、民間で作りたい」LITALICOを選んだ理由
そんな安田が就職活動で大切にした軸は、明確でした。
- 全ての子どもが人生に希望を持てる手伝いがしたい
- 経済資本の有無に左右されない教育の市場構造を作りたい
- 民間の立場でビジョンを持って携わりたい
- 自分の強み(思いの発信、行動)が評価される環境で働きたい
「教育業界は経済資本がある子どものところに価値が届きやすい構造になっていると感じていました。しかし、アイデンティティを形成する重要な時期だからこそ、どんな子どもにも等しく価値が届くべきです。その構造自体を変えたいと考え、かつ、ビジョンとスピード感を持つ民間の立場で実現したいと思いました」
LITALICOは、まさにその軸に合致する企業でした。「障害のない社会をつくる」というビジョンと、それを実現するための事業(マネタイズの方法)が直結していたこと。そして、インターン時代から彼の「思い」を受け止め、事業を任せるカルチャーがあったことが、入社の決め手になったと振り返ります。
現在のミッション:インクルーシブ教育を推進するBtoGマーケティング

安田が現在マネージャーを務める「LITALICO教育ソフト」は、学校の先生向けの授業サポートソフトウェアや、教材ダウンロードサイトを提供する事業です。
特性のあるお子さまが学校ではなかなか自分にあった学びを受けづらい現状があります。ただ、先生方も「発達特性のあるお子さまへの個別フォローに難しさを感じている」「コミュニケーションの教え方が分からない」という悩みを抱えていました。そうした学校現場のリアルな困りごとを受け、学校に通うお子さまが自分にあった学びを受けられるようにするためにこの事業は生まれました。
彼が率いるマーケティンググループの役割は、単にこのソフトを売ること(セールス)ではありません。自治体や教育委員会と連携の機会をつくることを通して、「インクルーシブ教育推進の必要性を1人でも多くの人に届け、伝播していくこと」こそが役割です。
「ソフトを導入して終わりではありません。民間だからこそできることとして、自治体や先生方を巻き込み、インクルーシブ教育に取り組む“波”や“流れ”そのものを作っていく。それが社会を変えることにつながると信じています」
――若手マネージャーの一日のスケジュール
そんな安田は、どのような一日を過ごしているのでしょうか。実際の業務スケジュールについて紹介しました。
午前中は、主に自治体の方と直接接点を持つ時間(商談や打ち合わせなど)にあて、現場の声を直接聞くことで、ニーズの変化や課題を肌で感じ取ります。
午後は一転して、より長期的な視点に。顧客との接点をさらに広げるための施策を立案したり、教育現場の周辺環境に対してアプローチできる新しい取り組みがないか模索したりするなど、企画や思考を巡らせる業務が中心だと話しました。
目の前の顧客に向き合いながら、同時に未来の事業展開も描く。この両輪を回す日々が、彼のスピード感のある成長を支えてきたのです。
入社3年半で得た、若手が「成果を出す」ための3つの視点
続いて安田は、インターン時代から現在に至るまでの3つのエピソードを挙げ、自身が考える若手が成果を出すために獲得すべき「視点」を伝えました。
――視点1:顧客に向き合うとは「顧客以上に顧客のことを知る」こと
インターン2日目。安田は社長の一言で、後に教育ソフトの柱となる研修動画サービス(現・まなび動画)の企画を任されます。
「特別支援教育の知識が十分ではない中、4ヶ月後にサービスのリリースすることだけが決まった…さてどうしよう、と(笑)。先生方にお話を聞いても『研修動画があれば嬉しいけど、忙しくて時間がない』と仰る方も多く、本当に必要とされるサービスかどうかに自信が持てない状況でした。」
この経験から、安田は「顧客に向き合う」ことの本当の意味を学びます。
「言われたことを聞くだけではダメでした。大事なのは、顧客以上に顧客のことを知ることでした。
すなわち、お客さま以上にお客さまのお困りごとについて理解を深め、お客さま自身もまだ知らない解決策を提示することです。
私たちが学校の先生方に価値を提供するときに何がお役に立てるでしょうか。指導の専門性では先生にかないませんが、全国の幅広い事例を知る『数』では勝ることができる。同じ『インクルーシブな教育を届ける』という目標において、自分たちなりのプロ意識を持ち、先生たちとは違う強みで教育現場に価値を提供することが重要だと気づきました」
――視点2:事業全体を見据えるとは「事業を主語にして語る」こと
新卒2年目の終わり。営業担当だった安田は、営業目標があまりにも高く、弱気になっていました。
「なんだ、この高い目標は。そもそも、なぜこの数字を追うのだろうか?」
安田は、その疑問を解消するために、まず事業全体の売上計画から逆算し、この売上目標が事業全体にとってどういう意味を持つのかを徹底的に分析しました。
そして、その分析を基にした自身の仮説を持って、大胆な行動に出ます。
「生意気にも、当時のマネージャーを飛び越えて、事業部長に『なぜこの目標なのか。実態を踏まえると、こういう目標設計の方が事業のためになるのではないか』と直接ぶつけにいきました」
すると、「事業全体で何を目指しているのか」「どうしてこの売り上げ目標を設定しているのか」を伝えてもらい、事業部長とともに戦略を考えることに。上長と戦略を練り上げるプロセスを経たことで、自身の役割が明確になり、『目標達成のために具体的に何をすべきか』というアクションプランまで明確に落とし込むことができたのです。
「この経験から、事業の抽象(売上計画)と具体(自分の行動)を行ったり来たりする視点を学びました。自分の行動一つが事業全体にどう影響するかを言語化できるようになったんです。役割(プレイヤー)にとらわれず、『事業にとって今これが必要だ』というように事業を主語にして語り、行動することが、全体を見据えることだと学びました」。
――視点3:社会を変える当事者になるとは「自分が信じる社会を語る」こと
新卒3年目。安田は、自治体との新しい案件を獲得するため、影響力のある地域の有力者(議員や元教育委員会の方など)を巻き込むプロジェクトに単身で乗り込みます。
「イベントや飲み会に1人で飛び込み、LITALICOの安田です。力を貸してください』とお願いして回りました。当然、お金で動いてくれる方々ではありません。彼らもまた、地域や教育への『思い』を持っています」
そこで安田が武器にしたのは、会社の看板やプロダクトの機能ではありませんでした。
「『会社がこうだから』『仕事だから』ではなく、『自分はこういう社会を作りたい。なぜなら子どもたちが困っているからだ。だから一緒にやってほしい。と、自分が信じる社会のビジョンをひたすら語りました。自分の言葉でビジョンを語り、周りの行動を促していくことこそが、社会を変える“当事者”になるということだと実感しました」
就活時に「気にしなかったこと」と「本当に大切にしたこと」
最後に、安田は自身の就職活動を振り返り、『就活の決定軸』について学生にアドバイスを送りました。
彼が「気にしなかったこと」は3つあります。
- 会社のネームバリューや大きさ(「周りが知らなくても自分が信じられればいい」)
- わかりやすいスキル、転職のレバレッジ
- 入社時点の給与やポジション
「スキルや給与は、成果として後からついてくるものだと割り切っていました。それよりも、『顧客に向き合い続ける』ことを優先したかったんです」
一方で、彼が「大切にしたこと」は、前述の就活の軸にも通じます。
- ビジョンと事業内容に関連性があるか(事業・マネタイズと直結しているか)
- すべての子どもに価値を届ける思考性(構造を変える意思)があるか
- 顧客のために年次や立場を超えて仕事ができるか(思いが受け入れられるか)

「すべてが完璧な選択肢などありません。だからこそ、皆さん自身の『譲れない軸』を見つけ、その軸を守るためには『何を気にするべきで、何を気にしなくていいのか』を選別してみてください。
自分自身が『信じる社会や価値観のために動ける場所を選ぶこと』それが、納得のいくキャリアの第一歩になるはずです。皆さんも自分が大切にしたい『軸』と向き合ってみてください」
参加した学生へのメッセージ
イベントの最後、「キャリアのピボット(方向転換)はしてもいいか?」という質問が寄せられました。安田は「ぜひしていいと思います」と力強く答えます。
「決まったキャリアのルートなんて、働いてみると存在しないことが分かります。大事なのは、その時々でどういう思いで、何に向き合っていったか。領域や職種が変わったとしても、目の前の顧客や解決したい課題に向き合い続けるという『心』が通っていれば、それは全てあなたの『独自性』になり、素敵なキャリアとして積み上がっていきます。
ぜひ、皆さん自身の自分らしさを大切にしながら、キャリアを考えてみてください」
(レポート執筆:LITALICO採用広報編集部)
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