2026.01.07

「今日1日を乗り切ろう」から、先の予定が考えられる日々へ。グループホームにお子さまが入所し、32年ぶりに仕事に復帰した保護者さまが思うこと。

LITALICOレジデンス 顧客インタビュー

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インタビューにお答えいただいたのは、LITALICOレジデンス(重度障害者向けグループホーム、以下レジデンス)をご利用中の利用者さま、Yさん(20代・女性)のお母さま。 長年にわたる在宅での支援と、グループホーム入居に至るまでの切実な胸の内、そしてレジデンスとの出会いがもたらしたご家族の変化について伺いました。

園での母子分離に苦戦、慣れるのに1年かかっていた

Yさんは2歳の頃に「小児自閉症(現在の自閉スペクトラム症)」と診断を受けています。幼少期から、集団生活や環境への適応に大きな困難がありました。

― Yさんの幼少期から、学校生活でのご様子を教えてください。

保育園に入りたてのころ、最初の母子分離をするのが本当に大変でした。預け終えてから100mくらいの距離まで私が離れても、まだ聞こえるくらいの大声でYは泣き叫んでいました。

その園では、自閉スペクトラム症のある子の受け入れはYが初めてだったそうですが、先生方が懸命に対応してくださいました。朝泣かずに登園し、日中にお昼寝もしてくれるようになり、お昼ご飯もしっかりと食べられるようになるまでには、約1年ほどかかりました。

小学校以降は特別支援学校に進学しました。高校の頃は特に、てんかんの発作が起きやすくなり、何度か救急車を呼んだこともありました。薬を追加で飲むようになってからは、日中はかなり長い時間寝ていることが多くなりました。先生に車いすに乗せてもらわないと、次の授業がある教室まで移動できないほどです。

― 当時のご家庭での様子についても教えてください。

Yにはお兄ちゃんがいますが、Yよりも軽度の知的障害があります。兄は妹がとにかく大好きで、「自分が一生妹の世話をしたい!」といつも言ってくれるくらいです。でも、学生時代に二人の父が亡くなるという家族にとって大きな環境の変化があって。かつ、兄は周囲の友達とうまくいかなくなったこともあり、精神的にかなり不安定になる様子もありました。

母親としては、子どもたち2人の難しい状況が重なっていたので、一時期は本当に先行きが不安で仕方なかったです。

「ここでは、騒いでいいよ」と言ってくれた生活介護との出会い

― 支援学校卒業後は生活介護事業所を利用されるようになったとのこと。どんな場所でしたか?

Yは場所を選ばずに皆のいる前で大きな声を出してしまうタイプの子なので、学校では他の子の勉強の邪魔をしてほしくないという思いもあって、「授業中はずっと寝ていてもいいや…」と親としては正直思ってしまっていたんです。でも、新しく行くようになった家の近所にある生活介護事業所では「思う存分、ここでは騒いでいいよ!」と言ってくれたんです。

興奮して収まらない時には個室に隔離という形になったこともあったようですが、ここではYのすべてをさらけ出させてくれたのがありがたかったです。

― 通い始めて、Yさんに何かポジティブな変化はありましたか?

日中は寝ていることが多かったYが、日中の活動に参加できるようになったのは本当にありがたいことでした。てんかんも大きな発作は起きなくなり、薬を減らすことにも繋がりました。

また、Yは保育園のころに「この先生じゃなきゃイヤ!」という強いこだわりがあり、迎えに行くといつも小さな体で終日同じ先生の腕にくっついていた子でした。でも、この施設の中では一人の先生がずっと付き添うスタイルではなかったので、そういった特定の支援者へのこだわりの強さや、集団生活への苦手さが徐々になくなっていったのも良い傾向でした。

― グループホームへの入居を検討し始めたのは、どのようなきっかけからですか?

Yは、生活介護から家に帰ってきてから家でお風呂に入るくらいの夕方の時間帯に気持ちが興奮して爆発することが多かったんです。病院からもらった薬を飲んで収まることもあったのですが、効果が切れたときには私が手が付けられないくらい騒いでしまうこともあって。

「限界だな…」と感じたときに、当時お世話になっていた相談支援員さんが「お母さんがいつSOSを出してくれるか、待ってたよ。それくらい心配していたよ。」と言ってくれて。一度親子として距離を置いた方がお互いにとってよさそう、ということになり、緊急で一週間のショートステイを手配してくれたんです。

LITALICOの「障害」に対する専門性への信頼が決め手に

― LITALICOレジデンスをどのように知りましたか?

保護者向けに発達の気になる子に関する情報を発信してくれる「LITALICO発達ナビ」をよく見ていましたので、LITALICOという会社自体は知っていました。家族に関する困りごとや対応の仕方についての記事をよく見ていて、ウンウンと他のご家族の様子が描かれた記事に共感したりしていました。

支援に関するノウハウがしっかりある会社の運営するグループホームにお願いしたい、というのは、今回選んだ決め手の一つでした。

― 他にもYさんに合った条件はありましたか?

以前相談した事業所からは「すぐに入れるグループホームだと一番近くても福島県になってしまう…」と言われてしまって。一方で妹が大好きな兄は、「すぐに会いに行けるところにしてほしい」という希望があり、家からなるべく近い距離というのは大切にしていた条件でした。

また、夕方から夜間のみの支援で、日中は生活介護やその他事業所に通所する前提のグループホームの場合は「毎日決まった時間に送迎バスに乗る」というルーティンが発生しますが、Yにとってはそれがものすごくハードルなんです。今日は気分で行きたくないとか、バスに乗りたくないと騒いで支援員さんや他の利用者さんを何分も待たせてしまうとか、家でも困ることが多かったので。

だから、通所せずにグループホームが日中活動を提供してくれるLITALICOレジデンスはすごくありがたかったです。他のグループホームも検討しましたが、LITALICOの窓口対応がとても良かったのも決め手で、安心して信頼して任せられると感じました。

ショートステイでの練習が、新しい居住環境に慣れる一歩に

― 入居されるときにご不安な点はありましたか?

やっぱりYは大声を出してしまうので、他に聴覚過敏の人などがいたらトラブルにならないかな、というのは心配でしたね。

また、「私がまだ動ける間に子どもを預けてしまっていいのだろうか」という葛藤も多少ありました。遠方の入所施設とは違い、グループホームは会いたいときに会いに来られるし、外泊もさせることができます。一方、「この子のお世話の大変な部分を他人に押しつける形は果たして正解なのかな…」という気持ちもありました。

― その不安や葛藤は、どのように解消されていきましたか?

スタッフさんがホーム内での様子を訪問時に細かく教えてくれたりするので、安心感が生まれました。

また、私と離れることに慣れさせるために、ホームへ入居してからもなるべく毎日会いに来てバイバイを繰り返す練習もしたことで、次第にスムーズにバイバイできるようになっていきました。LITALICOレジデンスに入居する前に、別の施設でショートステイを行っており、親のいない場所での宿泊を何度も練習してきたことで、スムーズに新しい環境に適応できたと思います。

親子としてちょうどよい距離感になったことで、実家での外泊時の関係性も穏やかに変わったと感じています。あのまま親子でずっと一緒にいても、こうはならなかったと思いますし、Yも「別の場所で暮らしていても、お母さんとちゃんと会えるんだ」と分かってくれたことで、今は外泊後にホームへ戻ることにも抵抗がないように感じます。
今はむしろ、実家の方を「別荘」のように思っているのではないでしょうか。


先の見通しがあると行動しやすいYさんのために用意された予定表

仕事復帰し、親子のほどよい距離感が生まれた

― Yさんがレジデンスに入居されたことで、ご家族の生活に最も大きな変化をもたらしたことは何ですか?

子どもが生まれてから仕事をやめていたので32年ぶりとなりますが、最近新しく仕事を始めたんです。もっと早くにと考えていたものの、これまではYが「今日は生活介護へ行く、やっぱり行かない…」というのを繰り返して不安定な毎日だったので、固定の仕事をなかなか始めることができなかったんです。
約30年間ずっと「Yちゃんのママ」という肩書で狭いコミュニティの中だけで生きてきたので、仕事を始めてから「一人の社会人」として苗字で名前を呼んでもらえたのがすごく嬉しかったですね。

また、入居以前は1日1日「今日をとりあえず乗り切ったらなんとかなる…」という感覚で過ごしていた日々でした。今では、明日以降の先の予定が自然と考えられるようになりましたね。Yが落ち着いてくれたことで、自分自身にも余裕ができた感じです。

久しぶりに会ったときにYに前よりも優しく接することができるようになりましたし、Y自身もなんとなく前よりも家の中で落ち着いているように感じます。お兄ちゃんも、入居の際にYの引っ越しを手伝ってくれました。家から行ける距離でいいね、と言ってくれていますね。

スタッフの見守りや支援の中で広がる世界

― 入居後、Yさんに何かポジティブな変化はありましたか?

Yはあまり周りの人に興味を示さないタイプだったんですが、お隣の部屋で暮らしている利用者さんや支援員さんたちの名前を覚えはじめています。集団生活の中で「この利用者さんといると、心地いいな」と感じているようですね。

また、ここではお風呂にも毎日気持ちよく入らせてもらっているようです。家だと入ること自体が大変で騒ぎ立てていたので、これも大きな変化かなと。あとはイベントも昔から好きだったので、レジデンスの夏祭りでは甚平を着て、射的や輪投げなど楽しんでくれたみたいなので、そこも親としては嬉しいですね。




― LITALICOレジデンスの今後に期待することはありますか?

支援員も利用者さまも、周りに同じくらいの年齢の同性の方がいらっしゃる、という雰囲気がYにとって嬉しいようです。秋にあった音楽祭はお熱が出てしまって出られなかったので、今後また開催していただいて、もっと利用者さんたちが交流を深められる機会を増やしていってほしいですね。

「まずは練習」、親が元気なうちに準備を。

― 入居に葛藤があるご家族へ、背中を押すとしたらどんな言葉をかけますか?
Yのように、特性上、新しいことをするのにすごくパワーがいるお子さまはきっと預けることを準備するだけでも大変だと思いますが、その一方で、今すぐグループホームへの入居を考えていなくとも、まずは、ショートステイなどの練習をこまめにやってみる、というのが私は大切だと感じています。

保護者の方が元気なうちに、家族にとってよりよい選択肢を必要な時にとれるように準備してみることを考えていただけたらいいのかな、と思いますね。

ーYさんのお母さま、インタビューのご対応ありがとうございました。お互いにほどよい距離感が
保てていることで、お母さまご自身の仕事復帰やYさんとの関係性の改善にもつながっているのがとてもすてきですね。イベントも楽しみにされているとのこと、今後も様々な日中支援や地域を巻き込んだイベントを企画していきたいと思います。(聞き手:人材開発部)

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