2026.01.27

イベントレポート:大手人材企業の部長からLITALICOへ。社会課題の解決をビジネスにする難しさとやりがい

ビジネス職

新卒

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本記事では、2026卒の学生向けに開催したLITALICOトークイベントの内容をレポートとしてお届けします。(開催日:2025年12月9日) 「『社会課題の解決』を仕事にしたいけれど、ビジネスとして成立するのか?」「自分のキャリアの軸が定まらず、どう会社を選べばいいか分からない」 就職活動でそんな葛藤を抱える方も多いのではないでしょうか。今回のトークセッションに登壇したのは、株式会社LITALICO・プラットフォーム事業部のセールスマネージャー、原島(はらしま)です。 新卒で入社した大手人材企業で12年間キャリアを積み部長職まで務めた彼が、なぜ30代半ばでLITALICOへ転職したのか。本記事では、原島のこれまでのキャリアの軌跡と、彼が語る「若手が成果を出すための成長論」を紐解きます。

登壇者紹介

株式会社LITALICO 発達ナビ部 セールスマネージャー 原島

2013年、大手人材会社に入社。人材紹介事業の法人営業として従事し、20代でマネージャーへ昇進。その後、課長、部長を歴任し、事業推進や人材開発にも携わる。入社10年目、自身の子どもの障害を機に、当事者としての課題意識が芽生える。社内での新規事業起案を経て、2025年7月にLITALICOへ転職。LITALICO発達ナビ(https://h-navi.jp/、以下「発達ナビ」)のセールスマネージャーとして、福祉事業所の経営支援・採用支援を行っている。

「競争」や「売上」ではなく社会課題の解決へ。キャリア観を一変させた体験

新卒で大手人材企業に入社した原島は、当初「やりたいことが明確ではなかった」といいます。だからこそ、幅広い業界に関わることができることから人材業界を選んで就職。はじめは目の前の数字をとにかく追いかけました。
「同期の誰々には負けない」「全国トップを取る」という競争心で走り続け、20代でマネージャー、そして部長へと昇進を果たします。

順風満帆に見えたキャリアですが、社会人10年目を迎えた頃、原島の価値観を根本から覆す出来事が起きました。それは、自身の子どもが病気になり、障害と共に生きることになったことです。

「ある日突然、自分が親から受けてきた育児の経験や常識が、全く通用しなくなったんです。希少疾患だったこともあり、相談できる相手もいませんでした。ウェブで情報を探しても見つからず…。まさに暗闇の中にいるような状態で、家族として大きな困りごとに直面しました」



家族として直面した、情報の少なさと支援にたどり着けないもどかしさ。
それまで、原島は競争心や売上目標の達成をモチベーションに働いてきました。しかし、家族のケアを通じて直面した社会の課題は、彼の仕事への向き合い方を根本から問い直すものでした。

「この個人的な葛藤や苦しみをなんとか解決したい。その思いを新規事業にぶつけようと考えました。当時の会社で『障害のあるお子さまの保護者支援事業』を起案し、新規事業コンペの最終選考まで進みました。しかし、結果は不通過。投資規模や収益性のハードルが高く、事業化には至らなかったんです」

今の環境では、自分が本当に解決したい課題には取り組めないかもしれない。そんなモヤモヤを抱えていた時、事業起案のためのリサーチ中に偶然見つけたのが、LITALICOでした。

「調べていくうちに、『自分がやりたかった事業をすでにやっている会社がある』と衝撃を受けました。前職での安定や積み上げたキャリアを捨てることに迷いがなかったわけではありません。でも、自分と同じように困っている家庭が世の中にはたくさんある。その課題に向き合える場所があるなら、そこに飛び込むしかないと思いました」

個人の困りごとを解決するだけでなく、社会の構造そのものを変えようとしている会社がある。原島の想いとLITALICOのビジョンが重なった瞬間でした。


「善意」だけでは救えない。社会課題解決に「ビジネス」が必要な理由

原島が現在担当しているのは、発達が気になるお子さまの保護者と支援施設をマッチングするポータルサイト「発達ナビ」を中心とした事業です。

――業界のインフラとなる「発達ナビ」とは?


原島がマネージャーを務める「発達ナビ」は、児童発達支援や放課後等デイサービスといった、発達が気になるお子さまが通う施設の経営を支援するSaaS(Software as a Service)事業です。
福祉施設が抱える「集客」「人材育成」「サービスの質改善」といった経営課題。これらをテクノロジーの力で解決し、業界のインフラを整えるのが「発達ナビ」のミッションです。

「福祉の現場は、日々の支援業務に加え、複雑な請求業務や人材育成など、多くの負担を抱えています。私たちがITの力で経営や運営をサポートすることで、支援者の方々が本来注力すべき『支援』に専念できる環境を作る。それが結果として、子どもたちへの支援の質向上につながるのです」

現在、発達ナビの業界シェアはトップクラスとなりました。多くの施設が導入しており、まさに福祉業界のインフラとなりつつあります。単にモノを売るのではなく、事業所のパートナーとして経営課題に入り込み、間接的に子どもたちの未来を支えることができていると感じています。



イベント中、参加学生から「福祉や社会課題の解決をビジネスにすることへの葛藤や難しさはありますか?」と質問が寄せられました。
この問いに対し、原島はこう答えます。

「葛藤は常にあります。現場の支援者の方からは『お金儲けなのか』と言われることもあります。しかし、私はビジネスにしない限り、課題解決の再現性と持続性はないと考えています。ボランティア精神は素晴らしいものですが、個人の善意だけに頼っていては、その人が疲弊してしまえば支援は途絶えてしまいますよね。また、限られた地域や人にしか支援が届かないという難点もあります」

「社会的なインフラとするためには、継続的な資金と投資が必要です。『この領域はビジネスとして成り立つから、もっと投資しよう』と感じてもらえるように、社会を巻き込んでいくこと。それが結果として、孤立するご家庭を減らす最短ルートだと考えています」

福祉や社会課題の解決策を「インフラ」として社会に定着させる。それが、原島の辿り着いた答えでした。



チームの成果を最大化するマネージャーの一日

では、原島は実際にどのようなタイムスケジュールで動いているのでしょうか。



マネージャー職として、チームの成果が最大化するために、チームでの会議や1on1などメンバーを支援する時間を取ることと事業全体の戦略を練ることに重点が置かれています。

夕方以降に確保された「営業活動の分析」の時間。目の前の数字を追うだけでなく、「社会課題の解決に必要なサービスが、適切な場所に届いているか」をデータに基づいて検証する。それぞれのメンバーからの声と、データ分析を組み合わせることでサービスの成長を実現しています。

弱さを武器に変える。若手時代に知っておきたい成長のための視点

12年間の営業経験とマネジメント経験、そして異業界への挑戦。これまでの経験から、原島は「若手が成果を出し、成長するために必要なこと」が2点あると考えています。

① 「失敗の深掘り」が自信の源泉になる


「成功体験は重視されがちですが、実は『失敗』こそが自信を作ります」
失敗した時、多くの人は「恥ずかしい」「忘れたい」と思い、蓋をしてしまいがちです。しかし、そこには成長の機会が詰まっていると原島は言います。

「まず、『なぜ失敗したのか?』という原因を徹底的に分析し、言語化すること。そして『次はこうすれば大丈夫』というロジックを組み立てること。このプロセスを経ることで、失敗はただの嫌な思い出から、再現性のあるノウハウへと変わります。泥臭い振り返りの数だけ、揺るがない自信が積み上がっていくと考えています」



「新人のうちに恥をかくことは何のリスクもありません。むしろ、年次が上がってから『そんなことも知らないの?』となる方がよっぽど辛い。分からないことは今のうちに沢山聞いてください。見栄を張らずに飛び込む姿勢こそが、成長角度を最大化させます」

② 「苦手な人」は自分を映す鏡である


2つ目は対人スキルについてです。社会に出れば、どうしても「苦手なタイプ」の人と協働しなければならない場面があります。
「苦手な相手というのは、実は『自分と真逆のタイプ』か、あるいは『自分が嫌っている自分の欠点を持っている人』であることが多いんです(自己投影)。」



「単に『相手が悪い』と考えるのではなく、『なぜ自分はこの人が苦手なのか?』と自問してみてください。それが、実は自分自身の弱さを知るきっかけになります。異なるタイプを受け入れ、協働できるようになれば、一人では決して到達できないような大きな成果を生み出せるようになります」

参加した学生へのメッセージ

イベントの最後、原島はこれから社会人となる学生たちへメッセージを送りました。



「仕事において『これをやりきった』と言える経験をぜひ作ってください。それは成功でも失敗でも構いません。中途半端に終わらせず、自分なりに考え抜き、行動しきったという事実はどんな環境でも通用する自信になります。ファーストキャリアでどの会社を選ぶかも大切ですが、選んだ場所でどう『やりきる』か。その覚悟が、皆さんのキャリアを切りひらいていくはずです」

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