VOL.3
学術研究と当事者2万人の
フィールドをつなげる、
社会課題の「知」の
プラットフォームへ

  • アカデミックと教育現場をつなげたいという思いが形に
  • サイト開設2週間で100名のサポート研究員が集まる
  • 「障害のない社会をつくる」を社会全体のビジョンへ

榎本大貴(12新卒)、鈴木悠平(14新卒)、野口晃菜

STORY

教育の実践現場にアカデミックの力を、実践から新しい研究の学びを

「この事業に研究所が必要だと、入社3週間で提案しました。」そう語る野口は、2012年にアルバイトとしてLITALICOへ入社。現在も博士課程に籍を置きながら、教育部門の執行役員としてLITALICOジュニア事業全体をスーパーバイズしている。発達障害児支援分野は、まだまだ知見や手法も発展途上だ。一方、学術研究では実践実証の場を必要としており、LITALICOジュニアとアカデミックをつなげる部門をつくりたいという思いからだった。

「今、LITALICOジュニアには発達に何かしらの課題があるお子さんが7,000人通っていて、これだけ多くの当事者の方々に働きかけることができるフィールドは、世界的にも希少なんです」(野口)

支援の現場で実践してきたことを、
社会に還元したい

「今まで私たちがやってきたことを科学的に分析し、発信することで社会を変えるきっかけをつくりたい」LITALICOジュニア事業開始時からかかわり、現場指導員、トレーナー、教材開発と活躍の範囲を広げる榎本も、研究所の立ち上げを心待ちにしていた一人だ。LITALICOが目指す「障害のない社会をつくる」というビジョンは、決して自社だけで達成できるものではない。社外のリソースも巻き込み推進していくことの重要性を、多くの社員が感じていた。

「僕も就職活動の面接の時から、『研究所が必要だ』と面接官、社長ですが(笑)に訴えていたので、こうして形にできて、メンバーとして参加できたことがうれしいです」(榎本)

国立大教授の「参画」実現から、
研究所設立へ動き出す

社会課題に関する「知のプラットフォーム」をつくる。この思いを実現するためのプロジェクトは、LITALICOジュニアのプログラム監修も務める鳥取大学大学院井上雅彦教授の、研究所所長(アドバイザー)への就任が決定したことから、大きく動き出した。国立大学の教授が、民間企業の組織に正式に参画するのは非常に珍しい事例だ。

「井上先生には以前からLITALICOジュニアについて相談させてもらい、サービスの質向上に力を貸していただいていました。そんな井上先生に、今回研究所の所長に就任いただくことが決まった時は、本当にうれしかった!」(野口)

社内外の研究資源が集まり、
LITALICO研究所をスタート

事務局長・プロジェクトリーダーには、マイクロソフト社と連携して教育における「合理的配慮」の普及啓発プロジェクトを推進していた14新卒の鈴木悠平を抜擢。今まではそれぞれの部門にあった研究プロジェクトをLITALICO研究所に集約し、組織化した。ウェブサイトで公募した社外のサポート研究員の登録は、わずか2週間で100名を超え、MEET UPイベントにも多方面の分野から、専門家や実践者が集まった。開かれた研究機関としてさまざまな「知」のリソースをつなぎ、「障害のない社会」に向けての大きな組織に育てていく。

「サポート研究員には日本だけでなく、海外の大学院に通っている方からの登録や、ご自身が障害の当事者だという方の登録もありました。『障害のない社会をつくる』というLITALICOのビジョンに、これだけ多くの人が共感して、実際にかかわりたいと思ってくれていることがうれしいですね」(榎本)

「障害のない社会をつくる」
ビジョンに、まっすぐに向き合っていく

今後は、主に教育やキャリアの領域において研究・調査を行い、政策提言や啓発活動に活かしていく予定だ。定期的にサポート研究員を交えたゼミを行い、そこでの意見交換をベースとして新たな研究プロジェクトを立ち上げる。その研究結果をもとに支援の現場で実践するほか、一般に向けた発信、政策提言も行い、研究成果を社会に還元していくという大きなサイクルをつくっていく。分野を越え、多様な専門性を持つ研究員が集まっているからこそ、これまでにない発想で成果を生み出すことができる。一人ひとりが抱える困難に応えられる知のプラットフォームを目指して、LITALICO研究所の挑戦は始まったばかりだ。

「一人ひとりが生活の中で感じているさまざまな疑問や困難。多くの実践者・研究者の方が積み上げてきた分野ごとの知見。それら一つひとつに耳を傾けながら、横断的に課題を解決していける、新たな知のプラットフォームをつくっていきます。」(鈴木)