2023.06.22

作業療法士の介在価値を世の中に広めたい。新卒入社後1年で、僕が教室長を選んだ理由。

作業療法士資格のある社員へインタビュー

対人支援職

新卒

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今回は作業療法士として、LITALICOジュニアに新卒として入社した岩田さんのストーリーを紹介します。

※本記事はLITALICOジュニア内のセラピスト資格を持つ理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の皆さん、約240名に配信されている、社内向けラジオの情報をもとにインタビュー記事として再構成しています

プロフィール

LITALICOジュニア 作業療法士(OT) 岩田さん
大学院を卒業した後、新卒として2022年4月にLITALICOジュニアへ入社。入社後約1年で2023年4月に名古屋エリアのLITALICOジュニアにて教室長に就任。

OTの仕事を、もっと世の中に発信したい。

ー Q.岩田さんが学生時代に作業療法士(OT)の道を選ばれた理由を教えてください。

小学生のころ、陸上競技に取り組んでいたのですが、初めて大きなけがをした時にリハビリテーションを受ける機会がありました。自分にとってはとても印象的な出来事でしたし、昔から人と直接かかわる仕事や、人のためになる仕事に興味を持っていたこともあり、高校での進路選択の際に当時リハビリを対応してくれたセラピストさんのことを思い出して、同じ道に進みたいと考えたんです。
セラピストのなかでもOTを選んだのは、身体から精神、子どもから老人に至るまで幅広い分野で活躍できる資格であり、その人自身だけでなく周囲の「環境」にも焦点をあてて治療をおこなっていることに惹かれたためです。

ーQ. なぜ大学院に進学を決められたのでしょうか?

大学によっては、大学院まで進む作業療法士は珍しいかもしれませんね。僕が院進学をしたのは、作業療法士の仕事についてもっと世の中に発信したいと思ったからなんです。院に行けば研究論文などで情報発信のための文章の書き方や思考の方法を勉強できると思ったので。
当時の研究対象は主に高齢者でした。OTが入った支援と、そうでない支援の間にどんな差があるか、というテーマの研究をしていました。有名な先行研究の一例をあげると、介護施設などでは通所者間の交流やレクリエーション活動があると思うのですが、ただレクリエーションを行うだけのグループよりも、作業療法士が作業や生活に焦点を当てて考えたグループワークを行ったグループの方が、QOLや生活力のポイントが高いといったものがあります。

お子さまへの教室での支援を、普段の生活にどうつなげられるか。

ーQ. 面白い研究をされていたんですね。LITALICOジュニアの小児分野と比較すると領域が異なると思うのですが、なぜ自社に興味を持たれたんでしょうか?

もともと大学時代に病院の精神科で勤務経験があるのですが、OTとしてこのフィールドで出来ることに対して限界を感じてしまったところは大きいかもしれません。OTの学びを最大限に生かすためには、対象となる方の地域や生活に根づく形での支援が必要だと考えたんです。
LITALICOジュニアは、保護者やご兄弟とのご家庭での関わりや園や学校での過ごし方など、「生活の場面」にも影響力のある事業だと感じました。児童領域は未経験ではあったのですが、新しい領域でチャレンジしたいという気持ちもあったので入社を決めました。

ーQ. LITALICOジュニアでは、どんな場面でOTとしての力を発揮できていると感じますか?

OTは「支援を生活にどうつなげていくか」という視点をもっている部分が強みだと感じています。
そのため、通所されているお子さまの保護者に対して、生活の中でどんな困りがあって、どんな対応が必要なのか、などをフィードバックする機会があるのですが、ここでOTとしての視点がいきていると感じます。
例えば書字に集中できないお子さまがいた場合、姿勢や足の置き方などにより視点があたるのがPTで、OTはどんな教室や道具の設定をすればお子さんが作業をしやすいのか、を考えることに強みを発揮できます。ないしは、骨折をした場合であれば、骨折した部位に焦点をあてるだけではなく「骨折してどういう生活ができなくてこまっているのか?」という視点で俯瞰して見ることができるといった感じです。
また、LITALICOでは、個(お子さま)と環境(学習環境や周囲の関わり方など)の相互作用の間に障害が生じる、という基本の考え方があるので、支援に際して様々な環境面の調整を行うことがあります。その点でもOTとしてスタッフや保護者さまにアドバイスをすることも多いです。機能の回復だけに意識を向けるのではなく、お子さまが通っている園や学校への訪問支援などにもセラピストがより連携を深めていくことも大切だと感じています。

OTとしての視点を、 異なる資格のスタッフにも理解してもらうために。

ーQ. 教室の支援で難しいと感じた点やそのために工夫されたことなどはありますか?

セラピストでありOTという専門資格を持つ身として、異なる経験や共通言語を持つ教員免許や保育士資格のある方々との支援に関する相談やコミュニケーションをとる際に難しさを覚えたこともあります。そのため、教室に配属されて初期のころは、特に自分の支援に対する姿勢や考え方を情報発信していき、周囲のスタッフにも理解してもらうことに重きを置いていました。
例えば、教室で開催している週1のミーティングで積極的にOTとしての見解を発信したり。他にも、自分がおこなった運動面などの支援に関して、次の指導員にも共有できるようプログラムに関するシートに記録やメモを残しておく、といった工夫も施していました。

様々な角度から発信を続けたことで、「運動の発達段階のこの部分って、どういうステップを踏んで成長するのか」、「この子の体の動かし方は年齢と合っているか」など、周囲のスタッフからも徐々に運動面、生活面に対してOTの意見を求められたり質問をいただけるようになってきたので、改めて自分から情報発信することの大切さを感じましたね。
OTの支援に関する教室内の発表をおこなった時には、元学校の先生だった方から「”生活”ってよく岩田さんが仰っていた意味がわかりました、こういうことだったんですね!」というフィードバックを貰えたのはすごくうれしかったです。

教室長として、 地域社会との連携する機会を増やしたい。

ーQ. 岩田さんは新卒で入って2年目で、教室長になるというご決断をされたと伺いました。今後のチャレンジについてもぜひ教えてください。

セラピスト資格のある教室長は、2023年時点で僕が3人目くらいだと思いますので、社内にまだ少ないという実感があります。LITALICOジュニア全体で、一定の質で安定した支援を届けていくためには、教育や保育以外の専門性のあるリーダーの存在も重要だと指導員として働くうえで実感していました。
また、教室長として、作業療法の必要性やできることを、教室外も含めて今在籍している東海エリア全体に広げていきたいと考えました。より生活の場面に根付いた支援のために、地域や行政とも連携する機会が多くなる点もチャレンジしたい理由のひとつです。
教室内のスタッフ同士の人間関係を考える点においても、教室長として「どうしたら働きやすくなるか?」といった考えのもと、OTとして全体を俯瞰する姿勢が役立てるのではと思っています。働きやすさを叶えるシステムづくりや、より良い支援へのアイディア提言も続けていきたいですね。

ー(編集部コメント)保護者の視点からみても、専門性の高い資格のある方から支援についての説明をされるとより納得感があるかと思います。教室、エリア全体、そして社会全体にOTとしての視点を発信し続けたい、という岩田さんの一貫した姿勢がとても素敵だなと感じました。ありがとうございました!

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