「障害のない社会をつくる」ビジョン実現に向け、社会課題に対する「知」のプラットフォームを創設
井上雅彦・鳥取大学大学院教授を所長(アドバイザー)に迎え、教育・就労課題の調査研究・提言を発信
障害のある方を対象とする就労移行支援事業所、子ども一人ひとりの状況に即したオーダーメイドの幼児教室・学習塾を全国展開する株式会社LITALICO(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:長谷川敦弥)は、教育と就労に関する社会課題解決に向けて調査研究や政策提言を行う研究機関「LITALICO研究所」を9月1日(火)に開設いたします。
LITALICO研究所 ウェブサイト:https://litalico.co.jp/lab/
【LITALICO研究所 開設の背景と目的】
LITALICOでは「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げ、障害者のための就労移行支援事業所「ウイングル」を全国で、発達が気になるお子様でも安心して通える幼児教室・学習塾「Leaf」を首都圏で、それぞれ50箇所以上展開しています。これまで多くの障害のある方を支援し蓄積してきたノウハウを科学的に検証、その成果を社会に発信し、業界全体の支援の質向上に貢献するとともに、研究成果を基に積極的に提言を行い、教育と就労における「障害のない社会」づくりを社会全体で推進していくことを目的に、このたび「LITALICO研究所」を開設することとなりました。所長(アドバイザー)には鳥取大学大学院教授の井上雅彦先生を迎え、社外の専門家・研究機関とも連携したオープンな研究機関として運営します。
【研究テーマ(2015年度)】
2015年度、LITALICO研究所では4つのテーマに関して研究を行います。
1.ペアレントサポートプログラム効果検証
「Leaf」にて、お子様の発達が気になる親御様に対して、家庭における子どもとの関わりを支援する「ペアレントサポート」を実践。その受講者を対象に、心理および行動面での変容を計測して効果検証を行います。「ペアレントサポート」の受講を通して、子どもとの関わり方や子どもの特性をより良く理解することにより、お子様の問題行動の減少や、親御様の育児ストレス軽減といった効果が期待されます。
協力:井上 雅彦 鳥取大学大学院教授 兼 LITALICO研究所所長(アドバイザー)
2.教育における「合理的配慮」の事例研究
障害のある方の権利が保障されるための「合理的配慮」について、学校教育現場における事例の調査から、その実践方法をまとめた事例集制作までを行います。さまざまな障害や場面に応じた配慮を、誰がどのように相談し、実現していくのか、その過程や結果を明らかにしていくことで、すべての子どもたちが学びやすい学校づくりに貢献します。また、Windowsクラスルーム協議会のメンバーとして「合理的配慮へのICT活用推進プロジェクト」に参画し、つくば市をフィールドとした実証研究なども行っていきます。
3.「レジリエンス」向上プログラムの開発・効果検証
困難や逆境から回復する力として注目される「レジリエンス」を高めるためのプログラムを開発します。また、「ウイングル」の利用者向けにプログラムを実施し、その効果を検証します。「レジリエンス」に関わる要因を明らかにし、就労支援のプログラムに組み込むことで、働くことに困難を抱えた方々へのより最適な就労支援を実現します。
協力:高橋 美保 東京大学大学院准教授
4.精神障害者における自殺リスク因子の抽出
「ウイングル」の利用者のうち、精神障害のある方の心理および行動状況を計測、分析し、精神疾患のある方の就労支援を行う上での危険因子や保護因子を抽出します。研究結果は、自殺予防プログラムの開発および改善に活用していきます。
【サポート研究員を募集】
開かれた研究機関を目指すLITALICO研究所では、社内外を問わず「サポート研究員」を募集しています。登録いただいた方には新しい研究テーマに関する研究員募集のご案内、研究テーマに関する勉強会や研究報告会へのご招待などをさせていただきます。詳細はLITALICO研究所ウェブサイトをご覧ください。
【LITALICO研究所 概要】
■ 名称:LITALICO研究所
■ 開設日:2015年9月1日
■ 所長(アドバイザー):井上 雅彦(鳥取大学大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
■ 事務局長:鈴木 悠平(株式会社LITALICO)
■ 主な活動内容:
教育と就労課題に関する調査・実証研究
「障害のない社会」を実現するための政策提言・啓発活動
上記に関連する研究成果の発表や、研究員人材の育成・輩出
■URL:https://litalico.co.jp/lab/
■Facebookページ:http://www.facebook.com/litalico.lab
【所長(アドバイザー) 井上雅彦 プロフィール】
鳥取大学大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学を理論的基盤として「環境」と「個人」の相互作用から「行動」を捉え、さまざまなレベルでの「障害」や「不適応状態」について、「環境」と「個人」の両方向からの心理的支援や教育を研究。
ペアレント・トレーニングシステム、強度行動障害研修プログラム、不登校支援プログラムなどの支援プログラムを開発し、株式会社LITALICOの教育事業Leafのプログラム監修も務める。
臨床心理士、専門行動療法士、自閉症スペクトラム支援士(エキスパート)。
『家庭で無理なく楽しくできる生活・学習課題46―自閉症の子どものためのABA基本プログラム (2008年,学研)』、『8つの視点でうまくいく!発達障害のある子のABAケーススタディ―アセスメントからアプローチへつなぐコツ(平澤紀子・小笠原恵共著, 2013年、中央法規出版)』など著書多数。
【事務局長 鈴木悠平 プロフィール】
障害種名などのラベルに還元されない個人のあり様や物語、それが尊重される社会づくりを探求。東日本大震災後の宮城県石巻市におけるコミュニティ事業の立ち上げ・運営、大学院での地域保健政策及び高齢者ケアの国際比較研究、フリーライターなどを経験した後、2014年に株式会社LITALICO入社。学習教室Leafでの指導員を経て、合理的配慮の普及啓発プロジェクトを担当し、LITALICO研究所事務局長に就任。コロンビア大学大学院 公衆衛生 保健政策専攻 修士
【LITALICOについて】
LITALICOは、2005年12月設立以来、日本における社会問題としての「障害者雇用」分野に着目し、一法人としては全国最多となる全国50拠点(2015年8月時点)で就労移行支援事業所「ウイングル」を展開しています。企業向けの障害者雇用支援から始まった事業は、現在では障害者向け職業訓練事業、そして障害者の家族向け事業や教育事業など、その領域を広げています。幼児教室・学習塾「Leaf」を首都圏52箇所(2015年8月時点)で開校しているほか、2014年4月に、IT×ものづくり教室「Qremo」を東京・渋谷に、2015年3月に神奈川・川崎にオープンしました。詳細はhttps://litalico.co.jp/をご覧ください。