株式会社LITALICO(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:長谷川敦弥、証券コード:6187)内の教育と就労に関する社会課題解決に向けて調査研究を行う研究機関「LITALICO研究所」は、LITALICOワークスが実施する「自殺予防のゲートキーパー研修」を受講した従業員を対象に、研修前後の自己効力感の変化に着目した、研修の効果検証を行いました。この研究論文が『精神科治療学』第33巻3号(星和書店)に掲載されましたのでご報告いたします。

■ 研究の背景
「ゲートキーパー」とは「自殺の危険を示すサインに気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守ることができる人」のことで、「命の門番」とも位置付けられています。厚生労働省の「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~(平成29年7月25日閣議決定)」においては、当面の重点施策のひとつとしてゲートキーパーの養成を掲げており、あらゆる分野の人がゲートキーパーとなれるように研修等を行うことが規定されています。しかし、自殺のような命に関わる深刻な問題に対応していくことは回避的になりやすく、適切な介入行動が取れなくなることもあります。ゲートキーパーとしての役割を果たすためには、スキルや技術が完全でなくても、とにかく関わり続ける自信が必要だと考えられます。
LITALICOが運営する就労移行支援事業所「LITALICOワークス」では、ご利用者の自殺危機に対応する従業員をサポートするライフネット支援室を設置し、自殺予防対策を実施しています。そこで本研究では、その取り組みのひとつとして行っているゲートキーパー研修の前後及び研修3ヶ月後の自己効力感の変化をみることで、研修の効果検証を行いました。

■ 研究結果
本研究の結果、研修後に自己効力感は有意に上昇することが分かりましたが、研修3ヶ月後には研修前の水準は維持するものの、低下傾向にあることが分かりました。また、効果には勤続年数や自殺の可能性がある人への対応経験の有無等が影響していることが示されました。
これらの結果を踏まえ、研修等によるゲートキーパートレーニングの継続的な実施が有効であること、受講者の対応経験や知識に合わせた内容の研修を行うことが必要であることが考えられます。

■ 業績
1, ◎川島泉・坂牛怜・村瀬裕美・浅見淳・井上雅彦(*1) (2018). 「自殺予防に関するゲートキーパー研修による就労移行支援機関職員の自己効力感への効果―前後比較研究―」 『精神科治療学』, 33(3), 365-372.
2, ◎浅見淳・江田暁子・川島泉「障害福祉サービス就労移行支援事業における自殺予防の取り組み」第41回自殺予防学会, 茨城, 2017年9月23日

(注)*1 鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座

【LITALICO研究所について】
LITALICO研究所は、LITALICOがこれまで多くの障害のある方を支援し蓄積してきたノウハウを科学的に検証し、その成果を社会に発信し、業界全体の支援の質向上に貢献するとともに、研究成果を基に積極的に提言を行い、教育と就労における「障害のない社会」づくりを社会全体で推進していくことを目的に2015年9月に開設しました。客員研究員として鳥取大学大学院教授の井上雅彦先生を迎え、社外の専門家・研究機関とも連携したオープンな研究機関として運営しています。詳細はhttp://litalico.co.jp/lab/をご覧ください。