「障害者差別解消法」の施行を控え、事業者への理解促進が重要に

「障害のない社会をつくる」というビジョンの下、障害者向け就労支援事業や子どもの可能性を拡げる教育事業を全国展開する株式会社LITALICO(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:長谷川敦弥、証券コード:6187)は、厚生労働省が定める「発達障害啓発週間」(4月2日~8日)を前に、発達障害の子どもや発達に課題のある子どもがいる保護者に向けて、「発達の課題のあるお子様の子育て」に関する意識調査を実施いたしました。調査は、LITALICOが運営する発達障害の子どもの子育てを支援するポータルサイト「LITALICO発達ナビ」(https://h-navi.jp/)の会員に対して協力を依頼し、364名から回答を得ました。

【調査結果のポイント】
・子どもの発達障害を理由に、施設やサービス利用を「断られたり制限されたりしたことがある」と3割以上の保護者が回答。場所については、「幼稚園や保育園」が約半数に上り、「習い事」「医療機関」の順に続く。
・9割以上の保護者が子育てに「不安や悩みを感じることがある」と回答。
・発達障害の子育てに関する情報は「足りていない」が半数を超える。情報は「インターネット」・「書籍」・「専門機関」から主に入手しており、情報の信頼性では「専門機関」・「発達が気になる子どもを持つ友人・知人」・「インターネット」の順に並ぶ。

【調査概要】
■ 調査対象:発達障害児または発達が気になる子どもを持つ保護者364名(男性:18名、女性:346名)
・調査対象者(保護者)の年代
20代:9名
30代:126名
40代:207名
50代以上:22名

・調査対象者(保護者)の「発達障害」または「発達が気になる」子どもの現年齢
0~2歳:2名
3~5歳:92名
6~8歳:107名
9~12歳:80名
13歳以上:83名

・調査対象者(保護者)の子どもの診断状況
発達障害と診断されたことがある : 297名
発達障害と診断されていないが、発達が気になる : 67名

■ 調査手法:「LITALICO発達ナビ」会員へのメールから、アンケートフォームにて回答
■ 調査期間:2016年2月下旬~3月上旬

※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100にならない場合があります。

【調査結果詳細】
1. 3割以上の保護者が子どもの発達障害を理由にサービスの利用を拒否・制限された経験あり
Q. これまでにお子様の発達障害を理由に、教育施設や商業施設等でサービスの利用を断られたり制限されたりした経験がありますか

図1

 

 

 

 

 

Q. (前問で「ある」と回答した120名へ)どのような場所でサービスの利用を断られたり制限されたりしたことがあるかお教え下さい(複数回答可)
図2

 

 

 

 

 

 

 

 

今年4月に施行される「障害者差別解消法」では、障害を理由として、正当な理由なくサービスの提供を拒否したり、制限したりすることが禁止されます。これに関連して、これまでに子どもの発達障害を理由に、サービス利用を断られたり、制限されたりしたことがあるかを尋ねたところ、33.0%(120名)の方が「ある」と回答しました。場所については半数以上の方が「幼稚園・保育園」を挙げ、次いで「習い事」「医療機関」の順に続きました。

自由回答形式で具体的な内容を尋ねたところ、「普段の保育や行事への出席を拒否される」「複数の幼稚園、保育園で、『言葉が出ず、指示に従えないようでは受け入れられない』と断られた」(幼稚園・保育園)、「個別で指導するわけではなく、集団での指導だから息子には無理だとはっきり断られた」「発達障害を告げたら『そのような子は見たことがないし、安全にレッスンを受けられるかが不安』と言われ断られた」(習い事)、「小学校低学年の頃『落ち着きが無い、お母さんが静かにさせなさい』、と言われ、結果二度とその病院は受診出来なくなりました」「『病院でおとなしく受診できるようになってから来てください』と言われた」(医療機関)などの回答が挙がりました。

2. 子どもの発達の課題に気づくきっかけ、約半数は「自分で気づいて」
Q: お子様の発達が気になったきっかけは何ですか
図3

 

 

 

 

 

子どもの発達が気になったきっかけでは、半数近くの保護者が「自分で気づいて」と回答していました。次いで、「幼稚園・保育園、小学校の先生から指摘されて」「定期健診で指摘されて」が上位に挙がりました。一方、ごく少数ながら診断が出るまで子どもの発達の課題に気づかない方もいらっしゃいました。

3. 4分の1以上の保護者が子どもの小学校入学後まで発達障害と診断されず
Q: (回答者のうち自身の子どもが「発達障害と診断されたことがある」と回答した保護者297名へ)お子様が発達障害と分かったのはいつですか
図4

 

 

 

 

 

子どもが発達障害と分かった時期を尋ねたところ、「3歳~小学校入学前」の回答が半数近くに上りましたが、一方で「小学校入学後」の回答も全体の4分の1以上に達しており、発見が遅れがちになっている現状が明らかになりました。

4. 9割以上が子育てに「不安や悩みを感じる」も、周囲からの理解や相談できる環境は比較的「ある」

Q. 子育てをする上で不安や悩みを感じることはありますか
図5

 

 

 

 

 

Q. お子様の発達の課題について、周囲から理解されていると感じますか

図6

 

 

 

 

 

 

Q. ご自身の子育てについて周囲に相談しやすい環境があると感じますか
図7

 

 

 

 

 

子育てをする上で不安や悩みを感じることが「(とてもよく/よく)ある」と回答した保護者は9割以上に達しました。その一方、子どもの発達の課題について周囲から「(十分/やや)理解されていると感じる」保護者は半数近くに上り「(あまり/まったく)理解されていないと感じる」の回答を上回ったほか、自身の子育てについて周囲に相談しやすい環境が「(とても/やや)ある」と感じる保護者は7割を超えていました。今回の回答者においては、不安や悩みを抱えながらも、自身の子どもの発達について理解や相談できる環境が比較的あるなかで、子育てに取り組む姿がうかがえました。

5. 子どもの発達に関する情報、6割近くが「足りていない」と回答。情報の入手先は「インターネット」がトップ
Q. お子様の子育てや発達に関する情報は、足りていると思いますか
図8

 

 

 

 

 

子育てや発達に関する情報量については、「十分足りている」の回答は3.6%と非常に少ない一方、「(あまり/まったく)足りていない」の回答は6割近く(56.6%)に達し、発達障害の子育ての役に立つ情報へのニーズが高いことが分かりました。

Q. お子様の子育てや発達に関する情報はどこから入手しますか(複数回答可)

図9

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q. その中で最も有効と感じる情報源はどれですか(単数回答)

図10

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子育てや発達に関する情報をどこから入手しているかを尋ねたところ「インターネットから」(84.3%)がトップ、次いで「発達障害に関する書籍から」(69.0%)の回答が挙がりました。「最も有効と感じる情報源」では、「療育センターなど発達に関する専門機関」(29.7%)、「発達が気になるお子さんを持つ友人・知人」(18.7%)の順となり、インターネットや書籍を通して広く情報を集めるとともに、専門機関や発達が気になる子どもを持つ友人から直接的に情報を得て、子育ての参考にする保護者の姿が浮かび上がりました。

今回の調査では、3割を超える保護者が子どもの発達障害を理由にサービス利用を「断られたり制限されたりしたことがある」と回答していました。4月に施行される「障害者差別解消法」では、障害のある方に対して「正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付ける」ことが「不当な差別的取り扱い」として禁止されます

事業者はサービスを拒否する場合には障害のある方へ正当な理由を説明し、理解を得るよう努めることが求められ、可能な限り、サービスを提供するための配慮を行うことが必要となります。しかし、まだまだ障害者差別解消法への認知は高まっていないと考えられ、法律が正しく運用されるよう、法の趣旨の一層の理解促進が必要と思われます。

また、発達に課題のある子どもがいる保護者の意識に関する質問では、発達の課題や子育てについてある程度「周囲から理解されている」、「周囲に相談しやすい環境がある」とする回答が、今回の回答者からは一定数見られました。一方、9割以上の保護者が子育てに「不安や悩みを感じることがある」と回答したほか、発達や子育てに関する情報について「不足している」との声が多数派となっており、発達に課題のある子どもの子育てをしやすい社会に向けて、より一層、情報インフラを充実させていく必要があると考えられます。

LITALICOでは、1月にオープンした発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」の機能をさらに拡充し、子育ての困りごとを解消するために必要な情報発信を強化していきます。また、家庭で活用できる「子どもとの関わり方」のコツを専門的に学ぶことができる保護者向けプログラム「Leafペアレントトレーニング」も開始し、子育ての悩みや不安を解消するとともに、希望を持って子育てに取り組んでいただけるようなサービスを積極的に提供してまいります。

内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」より

 

LITALICOについて】

LITALICOは、2005年12月設立以来、日本における社会問題としての「障害者雇用」分野に着目し、一法人としては全国最多となる全国53拠点(2016年3月時点)で就労移行支援事業所を展開しています。企業向けの障害者雇用支援から始まった事業は、現在では障害者向け職業訓練事業、そして障害者の家族向け事業や教育事業など、その領域を広げています。幼児教室・学習塾「Leaf」を首都圏と大阪府に59ヶ所(2016年3月時点)で、IT×ものづくり教室「Qremo」を首都圏4ヶ所で開校しています。詳細はhttp://litalico.co.jp/をご覧ください。